1ページ目から読む
4/4ページ目

亡くなる前日に書いていた手紙

 娘の変化を感じながらも、多感な時期にある悩みだと認識していた両親。だが、思い返すと、亡くなる前日にいつもとは違う兆候があったという。普段はリビングにいて、家族でテレビを見たりしてくつろぐことが多かったという準奈さんだが、その日、準奈さんは夕飯後にリビングのこたつでひとり手紙を書いていた。その姿に違和感を覚え、母親が近寄ると準奈さんはパッとその手紙を隠す仕草をしたという。母親が続ける。

 

「私が『どうしたの?』と聞いたら『友達に手紙を書いているの』と言いました。最近、友達に手紙は書いてないのにおかしいなと思ったんですけど、その時はそれ以上追及せずに21時過ぎくらいに寝かせました。でも、夜中にやっぱり気になって、朝、パパが仕事へ行った後に『学校で何かあったの?』と娘に聞いても『ううん。大丈夫』というだけでした。翌日には家族でカラオケに行く約束もしていたのに……。

 亡くなった日、娘はいつもより2、3分ほど早い午前7時10分頃に家を出ました。部活の用意を家に忘れていたので呼び止めると、『忘れたー』と戻ってきて、いつも通り出ていったのです。玄関からせっちゃんを見送るのが日課となっているのですが、あの日はずっと手を振っていて、最後、見えなくなる前にもう1度振り返って私のほうを見たのです。後からわかったのですが、前日に書いていた手紙が遺書だったのです」(母親)

ADVERTISEMENT

将来の夢は「バレーボール選手になる」ことだった

 母親に手を振って別れてからわずか40分後、準奈さんは学校へ到着すると誰もいない教材室で体操着に着替え、自ら命を絶った。#2では、事件後に警察から知らされたイジメの事実、学校が隠蔽したアンケート調査について遺族が告白する。

【#2に続く】

「文春オンラインTV」では本件について担当記者が詳しく解説している。

◆◆◆

「文春オンライン」では、今回の事件について、情報を募集しています。下記のメールアドレス、または「文春くん公式」ツイッターのDMまで情報をお寄せ下さい。

 sbdigital@bunshun.co.jp
 https://twitter.com/bunshunho2386

2021年 社会部門 BEST5

1位:強制収容所で体操する少女、体を丸めてうなだれる日本人捕虜…AIとのカラー化で甦った驚愕の“戦前・戦中写真”10選
https://bunshun.jp/articles/-/50985

2位:「五輪で風化させたくない」熱海土砂災害から1ヶ月 元AKB“旅館若女将”が語る被災地の「深刻な状況」
https://bunshun.jp/articles/-/50984

3位:《死刑判決に控訴》野村悟が来ると幹部は慌てて正座を… 工藤会壊滅作戦を指揮した福岡県警元刑事が見た“総裁”の真の姿
https://bunshun.jp/articles/-/50983

4位:《山形中1女児死亡事件》両親が涙の告白「なぜイジメの調査をしてくれないのか」13歳の少女が登校生徒の前で校舎4階から飛び降り自殺 前日にあった“ある異変”
https://bunshun.jp/articles/-/50979

5位:「血を舐めてもらって興奮した」「生理ナプキンで止血した跡が…」歌舞伎町“TOHO横”に集まる未成年は何をしているのか
https://bunshun.jp/articles/-/50978

文藝春秋が提供する有料記事は「Yahoo!ニュース」「週刊文春デジタル」「LINE NEWS」でお読みいただけます。

※アカウントの登録や購入についてのご質問は、各サイトのお問い合わせ窓口にご連絡ください。