今年2月12日の朝7時50分。山形・酒田市の中学校に通う中学1年生(当時)の石澤準奈(せつな)さん(13)が、多くの生徒が登校するなかで校舎の4階から飛び降りて亡くなった。前日まで大好きなバレーボールの話をし、居間で自ら筋トレをしていた準奈さん。なぜ、中学1年生の少女はこのような悲惨な死を遂げなければならなかったのか。

「文春オンライン」取材班が現地で取材を進めると、準奈さんの死後、下駄箱に「死ね」「キモい」と書かれた手紙が置かれ続けていたことや、「いじめに関する保護者アンケート」が学校によって改ざんされていたことが、遺族の指摘で判明した。(全3回の2回目/#1#3を読む)

※本記事ではご両親の許可を得た上で、準奈さんの実名と写真を掲載しています。編集部も、準奈さんの死の真相解明の一助になることを願い、可能な限り事実に忠実なかたちで伝えるべきだと考え、実名と写真の掲載を決断しました。

バレーボールに打ち込んでいたという石澤準奈さん

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刑事に言われて知った、〈死ね、キモい〉と書かれた手紙のこと

 2月12日、病院へ搬送され、変わり果てた娘の傍らで深い悲しみの中にいた両親は、酒田警察署の刑事から聞かされた言葉に絶句した。父親が打ち明ける。

「処置室から病室に移動して、警察関係者らしき人がせっちゃんの遺体を調べていました。その後、刑事さんから『こういう亡くなり方なので、この後、ご自宅のノートなどを調べて原因の糸口を見つけたい』と言われました。その時の会話で『下駄箱にも〈死ね、キモい〉と書かれた手紙が入れられていたみたいですね』と、言われて驚きました。『ご存じなかったですか?』と聞かれて、『はい、初めて聞きました』と。妻も『それは知らなかった』と、あまりの衝撃に私たち夫婦は頭の中が真っ白になりました。なんでこんな大事なことを学校ではなく、この状況で刑事さんから聞かされているんだ、と。悔しい思いでいっぱいでした」

 また、刑事からは教材室に置かれていた準奈さんの制服近くから木の箱に入れられたメモ用紙に書かれた遺書が見つかったことも伝えられた。

事件の捜査を担当した酒田警察署

学校は「イジメについて明確な証拠は出てこなかった」と報告

「刑事さんが病院で遺品の押収前に見せてくれました。遺書は鉛筆書きで《中学校に入ってからみんながこわくてなんか信用できなくなった。だからずっとがんばってわらってた。でもね、でもね。つかれちゃった》と書かれていました。妻とは友達のように仲が良かった娘ですが、思春期ということもあり、私には思っていることを話してくれることは少なかったように思います。他にも、遺書には小さかった頃に私たち夫婦に怒られたときのことも書いてありました。大人になって間違ったことをしないようにと思ってのことだったのですが……。せっちゃんが学校でそんなに悩んでいるとは正直、知りませんでした」(父親)

 後日、警察からは準奈さんは「自死」だったと伝えられた。