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「浪人期と同じ、下手したらそれ以上につらいです」東京大学現役学生が切実に吐露…オンライン授業の意外な“功罪”とは

『東京ルポルタージュ 疫病とオリンピックの街で』より #4

2021/12/26
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大学生活が「まるでテレワーク」

 北海道から上京しました。今年は新歓期も全部オンラインでしたよ。オンラインで、各サークルが集まって合同説明会をやるのです。自分みたいにはじめから、ここのサークルに入ろうと決めていた人はそれでもよかったほうですが、何も決めていなかった人はどうしているんだろうと思います。

 大学に入ったらサークルの勧誘があってビラをいっぱいもらったり、声をかけられたりして勧誘されるんだろうなぁと思ったら、健康診断を1回受けただけで、もう大学には行けなくなりました。あとはほぼオンラインですよ。講義もオンライン、サークルを選ぶのもオンライン、サークル活動もZoomとメールのやりとりが主になってしまったようで、テレワークみたいだと思いました。僕が最初に思い描いていた大学生活とだいぶ違うものになっています。

 授業もオンラインが中心ですが、たまに対面の授業もありました。大学は語学を中心にして対面授業も取り入れようって考えているみたいなんですけど、僕は自分と興味関心が近い人たちと友達になりたいし、一緒に話してみたいと思ったから大学に入学したわけです。

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 それなのに、たまたま同じ年に入っただけで、そんなに関心も重ならない語学が対面になったところで、いったい何になるんだろうって思っちゃいますね。興味関心が近い人と会える、話が合う人たちに会える確率は、絶対にゼミ形式の授業や選択科目のほうが高いはずです。僕はそっちで対面を増やしてほしいなって思っています。

 今年の前期はほとんど大学に行きませんでしたが、ゼミ形式の授業だけほんの少しの間、対面で再開されたことがありました。やっぱり対面は面白いです。例えばZoomだと面白い質問をした人にあとで連絡をとって……なんてことはやらないけど、対面なら終わったあとに、「あの質問面白かったね」とか「どんなことに関心があるの」って話ができるじゃないですか。

 実際に授業を通じて僕もやっと友達ができて、一緒に興味がある分野の勉強会をやろうという話になって、会も始まりました。こういうのが楽しいんです。もういっそのこと、休学しようかなぁとか、留年もありだなぁと考えてもいました。オンラインで授業を受けていても、イマイチ盛り上がりませんし、何より友達がそんなに増えませんよね。