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宇垣 あの2人の関係性が大好きです。血でもなく家という枠組みでもなく、女同士の信頼のもとで作られる家族もあるのだ! と思いました。

よしなが しかも恋愛関係でもない2人でしたね。

(左から)和宮と家茂 ©よしながふみ/白泉社

宇垣 ラストで、女性初の留学生の1人として津田梅子が出てくるのもすごく好きで。読んだ後で東京の街を見たら、すごく誇らしいような「今に見てろよ!」というような気持ちになりました。ちょうど政治家などから女性に対してのしんどい発言があった頃で……すごく救われました。

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よしなが たまたまそういう時期でしたね。描いてみたら、女の人がトップに立って200年やれたのだから、またできるかもしれない、という風情のシーンになりました。

苦しむ男性たちの姿も描かれている

宇垣 時代の先取りが過ぎる! 予言者なのでは? と思いました(笑)。

よしなが いえいえ! 感染症の話が出てくるのでコロナについて言及されることもあるんですが、感染症自体は世界各地で繰り返し起こっているので新しいことを描いたわけでもないんです。たまたまそうなった、ということが多かったですね。

『大奥』は「赤面疱瘡」という架空の感染症が流行した江戸時代が舞台となっている ©よしながふみ/白泉社

宇垣 男女が逆になれば解決する、ということではなくて、逆になったことで苦しむ男の人たちの姿も描かれているのも素敵だなと。

よしなが そうですね。男性のほうが酷いとかそういうことを描いた話では全くないんです。『大奥』では、能力はあっても男だという理由で消えていった人たちもいたわけで。そういう視点が大事なのかなといつも思います。

宇垣 本当に公平で誠実で、清濁合わせ呑んだ眼で見ていらっしゃる! と思いながら読んでいました。