「週刊文春」で連載中のマンガコラムを2年分収録した『今日もマンガを読んでいる』(文藝春秋)を上梓した宇垣美里さんが、敬愛する漫画家・よしながふみさんと初対面。
昨年、完結を迎えた『大奥』(白泉社、全19巻)などよしながさんの作品はもちろん、おふたりが愛するマンガ作品についてたっぷり語りました!(前後編の前編/後編を読む)
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宇垣 連載では、ほぼラブレターのような『大奥』評を書いてしまいまして……。
よしなが 「週刊文春」で拝読しました。取り上げていただいてありがとうございます。
宇垣 そうなんですか! よしながさんに届いていたのがすごく嬉しいです。
よしなが 完結した時に書いてくださったのもとてもありがたかったです。物語として言いたいことがやっと全部言い終わった! というタイミングで受け取って、言葉にしていただいて。漫画を描いている人間にとってなかなかない喜びです。
「意外なほどさわやか」だった結末
宇垣 読み切ってから評を書きたいと思っていました。こんなに勇気の出る結末があるのかと思える、素晴らしい終わり方でした。
よしなが 読んでいる皆さんは、幸せになりそうだと思うと目の前で砂の城が崩れ落ちるような展開が続くので、辟易していたかもしれません(笑)。でもラストまで描き切ってみると意外なほどさわやかというか、まさかこういう光が見えるとは、と思いました。
宇垣 描き始めた時には希望を感じさせるラストになるとは思わなかったということでしょうか。
よしなが はい。キャラクターそれぞれの行く末までは決まっていませんでした。瀧山がアメリカに行くとは思いませんでしたし、女性である和宮は大奥にいる男性と恋に落ちるかもと考えていたのですが、思いがけず女性の将軍(家茂)と仲良くなって。