「週刊文春」で連載中のマンガコラムを2年分収録した『今日もマンガを読んでいる』(文藝春秋)を上梓した宇垣美里さんが、敬愛する漫画家・よしながふみさんと初対面。
『大奥』(白泉社)、『きのう何食べた?』(講談社)など、よしながさんの作品はもちろん、おふたりが愛するマンガ作品についてたっぷり語りました!(前後編の後編/前編を読む)
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宇垣 私は日付が変わった瞬間に電子書籍サイトで新刊をチェックするんですけど、「こんなに読むものがある。寝られない!」と思うんです。後に回せないので読むしかないんですよね。
よしなが 『今日もマンガを読んでいる』のまえがきにも「正直寝ていない」と書いてあったので「わあ、寝て!」と思っていました(笑)。(目次を見ながら)私も読んでいる作品が多かったです! 『私の少年』(高野ひと深)、完結しましたね。「名前がない関係」で終わるお話ですよね。恋愛とか友情とかひとことでは言えない関係が人間には大切だ、という物語が今いっぱいあると思います。
宇垣 確かにそうですね。
よしなが 『違国日記』(ヤマシタトモコ)も大好きなんですが、(一緒に暮らす小説家の)槙生ちゃんみたいな叔母さんを、中学生の朝ちゃんが全面的にかっこいいとは思っていないところがリアルですよね。「よくわかんないな、この人」みたいなスタンスがいいなと。『かしましめし』(おかざき真里)も『違国日記』も「フィール・ヤング」の連載ですね。
宇垣 「フィール・ヤング」、強いですね。
――『かしましめし』は元同級生の男女3人が同居して、日々ご飯を作って一緒に食べる姿を描いています。
よしなが 『違国日記』も『かしましめし』も永久に一緒に暮らす感じはしないですよね。だから今が愛おしいというお話なのかなあと。
宇垣 『かしましめし』はあのタイミングの3人だからこそ、ですよね。傷ついている人たちが身を寄せ合っている感じが最高です。