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「実はあの2人の関係が一番ファンタジック」とよしながふみが語った『きのう何食べた?』における“運命の出会い”

よしながふみ×宇垣美里 特別対談#2

2022/01/14
note

よしなが 最近「別マ」(別冊マーガレット)を読んでいるんですが、描き手としてすごく勉強になります。クリスマスとバレンタインと、高校生なら夏祭りと初詣がこんなにも大切なものなんだと知りました。

宇垣 確かにそうですね。夏祭りで、ゲタの鼻緒で足を痛くしたり。

ケンジにとってのバレンタインの重さ

よしなが 高校生で恋をしていたら、親公認で夜外に出られる夏祭りや初詣は切実なイベントですよね。恥ずかしい話なんですが、『きのう何食べた?』の最初の何年かは描かないうちにバレンタインの時期が終わっていて。途中から恋愛というものを大事にしているケンジにとっては、大ごとなのでは? と気づきました。

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よしながふみ『きのう何食べた?』(講談社)

――『きのう何食べた?』は弁護士のシロさんと恋人で美容師のケンジ、男性2人暮らしの食について描いた作品です。

宇垣 私もケンジにはすごく勉強させてもらっています。シロさんがケンジに、バレンタインに毎年同じ高級なチョコレートをあげていたら、今年はいらない! と文句を言われる回がありますよね。私もチョコレートが大好きでよく買うんですが、「最適解」だからと同じものを人にあげ続けたりしている、と反省しました。

よしなが どれだけ自分のことを考えてくれたか、に価値を置く人たちがいるんですよね。自分もそうなろうと努力するかは人それぞれですが、そういう人もいるんだということを分かってないと、と思いました。その温度感の差こそがドラマになる。胸キュンのストックがないので貯めていかないと(笑)。

『きのう何食べた?』 ©よしながふみ/講談社

宇垣 私は『大奥』でもBLでも、よしながさんの描くものでいつもキュンとしています!

よしなが ありがとうございます。でもBLでは人を好きになるきっかけが描けなくて苦心惨憺しました(笑)。

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