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「(大物漫画家が)金輪際、描かないと言ったら…」新人漫画家の「セクハラ被害告発」に立ちはだかった“権力の壁”

漫画家・ペス山ポピーさんインタビュー#1

2021/10/02

 漫画家のペス山ポピーさんはアシスタント時代の2013年、当時の雇用主である漫画家からシャワーをのぞかれそうになるなど、悪質なセクハラを受ける。以来、漫画に向き合うことが難しくなり、体調を崩した。

 そのセクハラ加害者から7年越しの謝罪を受けた顛末を描いたのが、『女(じぶん)の体をゆるすまで』だ。本作は性暴力を世の中に訴えるだけでなく、タイトルの通り、「女の体」を持って生まれたペス山さんが、幼い頃から抱え続けてきた「性別違和」に対して向き合う道のりが、性被害と表裏一体をなすようにして描かれている。

 この取材では、前半で主にセクハラ被害について、後半ではペス山さんが自覚している男性でも女性でもない性、「Xジェンダー」について聞いていきたいと思う。(全2回の1回目/後編を読む

©文藝春秋

「告発するなら手伝いますよ」

「自分が受けた性暴力をいつか漫画に描くのではないか。そんな予感がうっすらとありました。実は前作(『実録 泣くまでボコられてはじめて恋に落ちました。』)の中で1コマだけ、セクハラ被害について描いていました。

 当時 #MeToo 運動が盛んだったこともあり、取材してくれたインタビュアーの方が、『告発するなら手伝いますよ』と言ってくださったんです。ただとてもじゃないけど無理という気持ちで、その時は0.5秒で断ってしまって。

 それでもやっぱり避けては通れない思いがずっとあり、いよいよ追い詰められて、もう描くしかない、今だ、となって描き出したんです」

 漫画業界の現場で起きた性被害を発表するにあたり、ペス山さんと、ペス山さんの担当編集者である“チル林さん”こと小学館の金城小百合さんに、さまざまな困難が降りかかる。それは、「ジェンダー」や「ハラスメント」をめぐる、現代日本社会のリアルでもあった。金城さんは語る。