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「私の母も徹底的に怒る人でした。教習所で女性の生徒にだけ横柄に振る舞う教官っていますよね。母は20年前、そういう教官にブチ切れて、『お前なんかとやってられっかよ!』と、路肩に車を停めて教官を置き去りにして帰ってきたこともあります。
私にもキツくあたってくるので辛いことも多かったのですが、身内にも他人にも同じように怒る、ある種の“フェアさ”を浴びてこれたのは良かったのかなって今では思います。
母という身近な女性が怒る人だったこともあり、昔から田嶋陽子さんのような、自分の感情をきちんと表に出す女性が好きでした。でも社会に出てみると、怒らない女の人の方がマジョリティだったんですよね。
小学生の時、私がスカートめくりに猛抗議した日以降、一切、スカートめくりがなくなったんです。その時思ったのは、私と同じくらいブチ切れて怒る女の子がいたら、もっと前にこんな悪質な行為を根絶できたのでは? ということでした。でも、怒らない子はそれこそ温度調節できたり、怒ることが怖かったのだと思う。それに気づけなかった。まあ、そういう思いが後に女性嫌悪につながっていくわけなんですけど……」
「怒ったら結果がついてきた感じ」と笑いながら話すペス山さん。「自分のいるコミュニティくらいは、怒ることで変えることができる」という言葉に、パワーをもらった気がする。
続く後編では、ペス山さんが幼い時から感じてきた性別への違和感について聞いた。