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「うわ、めっちゃエロい」知らない50代男性は、なぜそれが褒め言葉になると思ったのか

2022/01/11
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 ここに書ききれない山ほどある経験から察するに、おそらく一部の男性の間では「女性の容姿を褒めること」はいわゆる“マナー”のようなものだと考えられていて、特に「男性にとって性的に魅力的である」ことが「女性にとっての悦び」なのだと、信じて疑っていないのだろう。

「どうせあと数年経ったら誰も相手してくれなくなるよ(笑)」

 セクハラや性的被害を訴え出たり告発したりした女性に対して、男性と見られるアカウントから度々「どうせあと数年経ったら誰も相手してくれなくなるよ(笑)。相手されてるうちが華(笑)」「早くおばさんになって、誰にも構ってもらえなくなったらいいね」といったコメントが書き連ねられるのを見てきた。

 私自身も、セクハラへの苦言を呈すると必ず、そうしたコメントが山のように寄せられる。彼らからすれば、おそらくそれが女性に対する「一番効果的な攻撃」なのだろう。「男性から相手にされないこと」が女性にとって一番の屈辱であり、そこを突かれると女性はダメージを食らうのだと思っているからこそ、「男性にとって性的魅力がないと伝える行為」を攻撃の手段として選んでいるのだ。はっきり言って、女性への侮蔑であると思う。

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©iStock.com

通りすがりに痴漢をされたような気持ち

 ペットと撮った写真に「エロい」というコメントが寄せられた日、どうしようもなく気分が落ち込んだ。過去に受けた性被害を思い出し、吐き気を催した。まるで、通りすがりに痴漢に遭ったときのような喪失感を覚えた。悪夢にうなされ、ほとんど眠れなかった。

 これまで見ず知らずのアカウントから「あなたで自慰しています」と言われたり「エロいです」と言われたりしても、個人的にはまったく気にも留めなかったことを考えると、「知り合いの知り合い」という、どこの誰だか素性がわかっている、限りなくリアルな人間関係に近い関係性の人から性的な言動を受けたことがショックだったのだと思う。

「ほんのこれしきのことで」と思うかもしれない。しかし、私にとっては大きな傷なのである。不必要に他人から、性的な評価を付与されること。そしてそれを本人に見せびらかすこと。それがどれだけの加害性を持つか、考えてみてほしい。

 それ、本当に相手のためを思って言った「褒め言葉」ですか?

「うわ、めっちゃエロい」知らない50代男性は、なぜそれが褒め言葉になると思ったのか

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