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 そういえば正月の新聞で思い当たるものがあった。読売新聞は「新年展望」に安倍晋三氏を登場させていた。元日は『対中連携 各国と強化を』、3日は『岸田氏 人事思い通りに』。そこで安倍氏は岸田首相にこんな言葉を。

《国会では、憲法改正論議の進展に期待しています。ハト派の宏池会から出ている岸田首相の時代だからこそ、一気に進むかもしれません。》

「変わり身の早さ」はブレない

 たしかにハト派の宏池会の岸田氏が動けば「憲法改正」も「敵基地攻撃能力の保有」も安倍氏の悲願が実現する。こういう政策は岸田氏のような何もこだわりがない真空総理のときにこそ実現するのだろうか。まさに小渕政権の再来ではないか。10万円給付のときは野党の主張、そして次は安倍氏の主張。各方面で丸飲みすることにブレない。

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《批判を受ければ、ためらうことなく方針を転じる。変わり身の早さを、自民党幹部はこう評する。「ぬえみたいな政権だ」》(朝日新聞1月5日)

 ぬ、ぬえ。なんでも飲み込んでしまう想像上の生き物のことだ。さらに、

《融通無碍(むげ)を可能にしているのは、岸田自身のこだわりのなさだ。》(同前)

 ビジョンがなくこだわりがない怪物はなんでも飲み込んでしまう。この調子でどこまで行くのか。

 私は「本当は怖い岸田政権」と名付けたい。