TBSの看板番組「アイ・アム・冒険少年」の人気企画「脱出島」。そこに“やらせ”行為があったという。「文春オンライン特集班」は現地で、番組の常連で絶対的王者・あばれる君(36)が漕ぐイカダが小船に牽引される様子や、出演者が一人で作ったかのように放送された「脱出」のための小道具やイカダを、大人数のスタッフが組み立てる姿など様々な“疑惑”の瞬間を目にすることになった。取材班が現地で取材した過酷な現場の全容を詳報する。(#2の続き)

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服で顔を覆い、周囲を警戒するあばれる君

 2021年11月25日正午、港にあばれる君が現れた。送迎車から降りたあばれる君は服で顔を覆い、周囲を警戒しながら素早く船に乗りこんだ。左手にはいつも番組で使用している青いリュックサックが下げられていた。

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リュックを手に船に乗り込むあばれる君。番組で「王者」はワンバッグなしと語っていたが… ©文藝春秋 撮影:細田忠
リュックを手に船に乗り込むあばれる君。番組で「王者」はワンバッグなしと語っていたが… ©文藝春秋 撮影:細田忠

 10分後、船には救命ボートが乗せられ、カメラスタッフが乗りこみすぐに出港。あばれる君はその日、港に帰ってこなかった。

無人島に向けて出発するあばれる君とスタッフ ©文藝春秋 撮影:細田忠

あばれる君本人は浜に寝転び、スタッフだけが作業するときも

 翌朝、取材班は港を離れ、A島から程近い対岸のあるエリアから、脱出用のイカダを組み立てるあばれる君の姿を確認した。2022年1月3日に放送された『冒険少年』の特番では、愛用のナイフを失ったものの、知恵を駆使しながら釘を加工し製作した「釘ナイフ」を使って、一人イカダ作りにとりかかっていたあばれる君だが、実際は複数のスタッフがイカダの作成を手伝っていたようだ。

数人のスタッフがイカダを組み立てている様子 ©文藝春秋 撮影:細田忠

 11月下旬とはいえ、奄美の気温は暖かい。この日は太陽が照りつけ、気温が上昇した。午前11時、A島の海岸いっぱいに竹が並べられ、5~6人のスタッフが黙々とイカダを製作しはじめた。あばれる君もイカダづくりに参加していたが、暑さのためだろうか、ときにはゴロンと浜に寝転び、スタッフだけが作業する時間もあった。

スタッフに作業を任せ寝転がるあばれる君(左端の丸内) ©文藝春秋 撮影:細田忠
番組内ではあばれる君が作ったとされるイカダだが…

 そして14時30分、イカダは無事完成し、16時ごろに#1の冒頭でも描いた島からの出航シーンとなった。