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好きなことをやりながら少しずつでも進んでいけたら

――自分にとって奪われないものを考えるのは、それぞれの得意なものや好きなものを見極める大事な時間になりそうですね。

スー 推しの活動を鑑賞するとか、物事の仕組みを考えるだとかね。私はそういうのがすごく楽しいし、そういうことをしている時間は豊かだなと思います。

 

 私もね、どうでもいいことをまったく気にしないというわけではないんです。今日だって、撮影前に顔がすごく垂れ下がってるなと思ったり、写真をチェックしてって言われて“どうしよう、ひどい写真ばかりだな”とか思ったりはするんですよ。周囲の人から、すごくはしゃいで嫌われたらどうしようとか、“うわぁ、気持ち悪い!”とか思われたらどうしようという気持ちもあります。解脱したわけでも悟りを開いたわけでもないし、迷いももちろんありますけど、好きなことをやりながら少しずつでも進んでいけたら。それでいいんじゃないかなって思っています。

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(撮影:榎本麻美/文藝春秋)

【前編を読む】

ひとまず上出来

ジェーン・スー

文藝春秋

2021年12月15日 発売

『ひとまず上出来』特設サイト
https://books.bunshun.jp/sp/su?ud_book

ジェーン・スー

1973年、東京生まれ東京育ちの日本人。作詞家、コラムニスト、ラジオパーソナリティ

TBSラジオ「ジェーン・スー 生活は踊る」、ポッドキャスト番組「ジェーン・スーと堀井美香の『OVER THE SUN』」のパーソナリティとして活躍中。『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』(幻冬舎文庫)で第31回講談社エッセイ賞を受賞。著書に『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』(ポプラ文庫)、『女の甲冑、着たり脱いだり毎日が戦なり。』(文春文庫)、『生きるとか死ぬとか父親とか』(新潮文庫)、『私がオバさんになったよ』(幻冬舎文庫)、『これでもいいのだ』(中央公論新社)、『女のお悩み動物園』(小学館)、高橋芳朗との共著に『新しい出会いなんて期待できないんだから、誰かの恋観てリハビリするしかない 愛と教養のラブコメ映画講座』(ポプラ社)など多数。