大学入学共通テスト初日の1月15日朝、テストを受けるために東京都文京区の東京大学に集まった受験生の男女2人を含む3人を背後から切りつけた、名古屋市在住の高校2年生の男子生徒。通っていた高校は、同市にある全国屈指の進学校で、医学部進学実績が全国No.1の東海高等学校だ。

 男子生徒は殺人未遂容疑で現行犯逮捕され、その後の警視庁の調べに「医者になるために東大を目指したが、1年程前から成績が上がらず、自信をなくした」「勉強がうまく行かず死のうと思った」などと話している。

犯行現場となった東大前 ©文藝春秋 撮影/宮崎慎之輔

 事件から数日が経ち、彼の事件直前までの行動が明らかになってきた。社会部記者が解説する。

ADVERTISEMENT

火炎瓶、ノコギリ、包丁…“重装備”だった男子生徒

「14日金曜日の朝、いつもと同じように自宅を出た男子生徒は、学校を無断で欠席。夜になっても自宅へ帰ってこないことから、親が愛知県警に行方不明者届を出していました。

 当の本人は深夜に名古屋で夜行バスに乗り、15日午前6時ごろに東京駅に到着。丸ノ内線、南北線を乗り継いで現場の東大前駅に行き、その電車内で液体のようなものをまきました。可燃性の液体が染み込んだリュックサックも車内で見つかっています。そして駅の8箇所ほどで爆竹のようなものを燃やして、地上に出て、3人を背後から切りつけました」

爆竹に火をつけた東大前駅構内 読者提供

 驚くのは犯行当時の男子生徒の所持品だ。

「凶器となった包丁のほか、胸ポケットには折りたたみ式のノコギリやナイフも所持していました。火炎瓶のような栄養ドリンクを3本束ねたものや、可燃性の液体の入ったペットボトルを3本に、ジャム瓶のようなものも持っていました」(同前)

 ここまでの“重装備”をして、凶行に及んだ男子生徒。彼をそこまで追い詰めたものはなんだったのか。