文春オンライン

政治とメディアの「適切な距離感」とは? 立憲民主党の資金提供1500万円を明示せず…ネットメディアの“裏切り行為”

2022/01/18
note

 ほかにも西村幹事長は「メディアと政党、政治団体の関係性がどういったものが適切かは、もう少し議論する必要がある」などと述べた(朝日新聞デジタル1月13日)。まるで他人事である。

 メディアとの適切な距離感と言うなら、受け手がその件にどれほど敏感になっているか知ったほうがいい。たとえば政治とメディアの距離感で言うと4年前にこんなことがあった。安倍晋三政権が放送法4条の撤廃に着手していたことが明らかになったことがあった。放送法4条は、政治的公平などを放送局に義務付けている。

安倍晋三 ©JMPA

メディアをけん制していた安倍政権

 それまでむしろ安倍政権は放送法を盾にしてテレビ局をけん制していた。西日本新聞の社説から引用しよう(2018年4月7日)。

ADVERTISEMENT

《安倍政権は4条を放送局への圧力カードに使ってきた。2016年には当時の高市早苗総務相が4条に基づき電波停止を命じる可能性に言及した。》

 しかし一転、今度は4条を撤廃しようとした。それはなぜか。

《きっかけは森友学園問題のテレビ報道などに対する政権側の不満やいら立ちとされる。それが「政権の意向を代弁する放送局の参入を促したい」との思惑につながり、「4条が邪魔」という発想に結び付いたとすればご都合主義というしかない。》

 この動きは潰れたが、権力が地上波テレビでさえ自分たちの思惑通りにしようという動きを見せたのだ。視聴者側としたら「政治とメディア」に敏感にならざるを得ない一件だった。