1ページ目から読む
2/5ページ目

睡眠不足はあなたを殺す

 その他、睡眠時間が短いことは、不整脈や免疫機能を低下させるだけでなく、死亡率増加にもつながると報告されている。(*3・4・5)

*3 Genuardi MV et al. Association of Short Sleep Duration and Atrial Fibrillation. Chest. 2019;156(3):544-552.

*4 Besedovsky L et al. Sleep and immune function. Pfl ugers Arch. 2012;463(1):121-137.

ADVERTISEMENT

*5 Kurina LM et al. Sleep duration and all-cause mortality: a critical review of measurement and associations. Ann Epidemiol. 2013;23(6):361-370.

 それだけではない。睡眠不足はダイエットの大敵でもある。読者の皆さんの中にも、夜更かししたときにとてもお腹が空いたり、ラーメンやスナック菓子のようなカロリーが高いものや炭水化物を食べたくなったりした経験がある人もいるだろう。実は、これに関してもエビデンスがあるのである。

©iStock.com

 複数の研究 (*6・7)により、睡眠時間が短い人ほど肥満のリスクが高いと報告されている。12名の健康で標準体重の男性の被験者を、食事のカロリーや運動量をコントロールされた環境下で、短時間(4時間)睡眠と長時間(10時間)睡眠に無作為に割り付けた実験(*8)がある。その結果、睡眠不足によって食欲を増す効果があるグレリンというホルモンの分泌が促進され、食欲を抑制する効果があるレプチンというホルモンの分泌は逆に減ることが明らかになった。また、睡眠不足は脳の食欲をコントロールする部分の活動を低下させ、それによって特にカロリーが高く、炭水化物の割合の高い食事を欲するようになることも別の研究(*9)から分かっている。

*6 Patel SR & Hu FB. Short sleep duration and weight gain: a systematic review. Obesity(Silver Spring). 2008;16(3):643-653.

*7 Cappuccio FP et al. Meta-analysis of short sleep duration and obesity in children and adults. Sleep. 2008;31(5):619-626.

*8 Spiegel K et al. Brief communication: Sleep curtailment in healthy young men is associated with decreased leptin levels, elevated ghrelin levels, and increased hunger and appetite. Ann Intern Med. 2004;141(11):846-850.

*9 Greer SM et al. The impact of sleep deprivation on food desire in the human brain. Nat Commun. 2013;4:2259.