「尿1滴で、精度86%のがん検査『N-NOSE』、自宅でできます。僕は受けます」と、語り掛ける俳優の東山紀之(55)。だがその肝心の検査は――。
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「がんに対する高い感度86.3%が報告」関係者からは疑問の声
ベンチャー企業のHIROTSUバイオサイエンス(以下、H社)の、線虫でがんのリスクが判定できるとする検査キット「N-NOSE」。H社の広津崇亮(ひろつたかあき)代表によれば、線虫はがん患者の尿の匂いを好み、そちらへ向かう。一方、健常者の尿の匂いは嫌うため、線虫の動く方向で、判定出来るのだという。検査の精度も高く、HPには「がんに対する高い感度86.3%が報告」とある。
この検査を巡り、関係者から疑問の声が上がっていると、「週刊文春」は2021年12月9日発売号で内部資料と共に報じた。20年10月に商品化がスタートしたが、「謳っている精度を保てていない」(現役社員)というのだ。
いち早く報じた「報ステ」
H社はHPに「12月9日付 週刊誌の報道について」とリリースを掲載。「科学的に初歩的なミスも多くすべて事実無根の内容です」としたが、検査キットを返品する人も出ている。
この線虫がん検査を持ち上げてきたのが、テレビや新聞など大手メディア。特に関係が深いのがテレ朝だ。
『報道ステーション』は15年3月、当時は九州大学助教だった広津氏が線虫に関する論文を発表すると、尿1滴の匂いでがんの判定が可能で、「体長1ミリの生物に期待がかかっている」と、いち早く報じた。2年後の4月にも、H社の記者会見を取り上げ、実用化が早まったことを紹介している。『報ステ』の視聴率は優に10%を超えており、
「広津代表は『世の中から期待されている』と喜んでいました」(H社元社員)