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《もうひとつの分裂騒動》「神戸はヤクザの社会で最も大事な“盃”をないがしろにして出て行ったが…」 90人に減少した“第3の山口組”絆会の行方は…?

山口組分裂抗争のいま #2

2022/01/29

genre : ニュース, 社会

 国内最大の暴力団、「6代目山口組」から離脱したグループが2015年8月に「神戸山口組」を結成し、対立抗争状態が継続している。

 実は「山口組」をめぐっては2017年4月にも分裂騒動が表面化していた。

 神戸山口組の若頭代行の織田絆誠(よしのり)や若頭補佐の池田幸治らが離脱して、「任侠団体山口組」(当時)を旗揚げしたのだった。織田は神戸山口組の中核組織、山健組の副組長という最高幹部でもあっただけに再度の分裂の衝撃は大きかった。

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 任侠団体山口組の代表には織田が就任。真鍋組を率いていた池田は本部長というポストに就いた。結果的に「山口組」を名乗る組織は一時期、三つ巴の状態となっていた。任侠団体山口組はその後、任侠山口組へと名称を変更。現在は「絆会」として活動している。

 分裂以降、6代目山口組は2021年の年末時点で構成員は約4000人。神戸山口組は約500人だ。絆会も独立当初は約400人の構成員が警察当局によって確認されていたが、昨年末には約90人へと減少した模様だ。6代目山口組と神戸山口組に大きく引き離されているのが実情といえる。(全2回の2回目/前編を読む

写真はイメージ ©️iStock.com

「任侠団体山口組」結成記者会見で神戸を痛烈批判

「本日付けを持ちまして『任侠団体山口組』、結成いたします。代表、織田絆誠。不肖、私、本部預かります、池田幸治です」

 池田ら幹部が2017年4月、兵庫県尼崎市で異例の記者会見を開き、新組織である「任侠団体山口組」の旗揚げを宣言した。会見では新組織の発足を宣言して、その趣旨を述べるだけで出席した記者たちからの質問には応じなかった。織田は会見には出席しなかったが、池田が結成の趣旨を表明。神戸山口組を痛烈に批判した。

「名古屋方式を否定して立ち上がった神戸山口組であります。その名古屋方式の悪政は数々あれど、大きく分けると第一に金銭の吸い上げ。第二に当代の出身母体のひいき。第三に当代が進言諫言を一切聞かない。これでは山口組が自滅の道をたどると真っ向から否定して立ち上がったにも関わらず、神戸山口組の現実はその名古屋方式にも劣る、それ以下の悪政でした」

 会見の冒頭から、池田は紅潮した表情で厳しい批判を続けた。

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