〈あらすじ〉
口のきけない青年テイン(ユ・アイン)と、片足を引きずる中年男性チャンボク(ユ・ジェミョン)は、普段は鶏卵販売をしながら、犯罪組織から死体の処理を下請けして生計を立てていた。テインはある日、組織のボスであるヨンソクから、身代金目当てで誘拐した11歳の少女チョヒ(ムン・スンア)を、一日だけ預かることを命じられる。家族と暮らすチャンボクからチョヒを押し付けられたテインは、森の奥の家にチョヒを連れ帰る。翌日、ヨンソクがなぜか組織に殺されてしまい、テインたちは成り行きで誘拐犯になってしまう。チョヒの親が身代金の支払いになかなか応じないため、テインとチョヒは次第に疑似家族のようになっていく。
〈解説〉
社会から切り捨てられた青年と、両親に身代金を払ってもらえない孤独な少女の交流を描くサスペンス・ドラマ。監督・脚本は新人のホン・ウィジョン。99分。
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中野翠(コラムニスト)
★★★★★誘拐犯の青年と誘拐された少女。それぞれの生きづらさ。孤独と憤懣。おかしみもあり。骨太にして繊細な映画になった。
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芝山幹郎(翻訳家)
★★★★☆危うさとおかしさを同居させ、新人監督とは思えぬ腕で難所を切り抜けていく。話の幹だけでなく、枝や葉の形も面白い。
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斎藤綾子(作家)
★★★★★物凄く怖い作品だが穏やかに楽しめた。ユ・アインだから台詞無しで不気味な男を演じ切り、根の優しさも醸し出せた。
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森直人(映画評論家)
★★★★★東アジアの情緒とコーエン兄弟的な妙味の融合!? 夏の風景の明暗や社会疎外の縮図性など、考え抜かれた設計に感嘆。
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洞口依子(女優)
★★★☆☆誘拐、殺人、人身売買、主人公の闇の部分の側面と韓国のどこか懐かしい田舎風景が絶妙にマッチするシュールな残酷さ。
- もう最高!ぜひ観て!!★★★★★
- 一食ぬいても、ぜひ!★★★★☆
- 料金の価値は、あり。★★★☆☆
- 暇だったら……。★★☆☆☆
- 損するゾ、きっと。★☆☆☆☆
『声もなく』(韓)
シネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国順次公開中
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