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《埼玉立てこもり》「猟銃はすぐ撃てるものではない。かなり計画的に準備した」“精神的に不安定”な容疑者が“突破”した銃所持審査の「人的欠格事項」とは

genre : ニュース, 社会

 埼玉県ふじみ野市の民家で、散弾銃を持った渡辺宏容疑者(66)が医師の鈴木純一さん(44)を人質に立てこもり、医療関係者3人が殺傷された事件。埼玉県警は29日、殺人未遂容疑で逮捕した渡辺容疑者を、殺人容疑に切り替え送検した。

 渡辺容疑者が立てこもった住居に引っ越してきたのは、約3年前。渡辺容疑者を知る医療関係者や近隣住民によると、92歳の母は「寝たきりで話もできない」ほどの状態だったといい、老老介護の過酷さからか、近所付き合いもほとんどなかったという。

物々しい雰囲気の現場付近 ©文藝春秋 写真/宮崎慎之輔

 逮捕直後は頑なに黙秘を続けていたという渡辺容疑者だが、徐々に犯行の動機が明らかになってきた。社会部記者が語る。

他の病院とも治療方針でトラブル「暴れたり…」

「渡辺容疑者は3年前に引っ越しをしてから間もなく、鈴木さんが経営するクリニックの訪問介護を利用していました。ただ、実は鈴木さんに診てもらう前の病院とも、治療方針に異議を申し立てる手紙を送ったり暴れたりと、たびたびトラブルを起こしていたようです。

 事件当日は、自ら鈴木さんら母親の治療に関っていた医療関係者を呼び出し、犯行に及んでいます。強い殺意と計画性があったのではないかと見られています」

 犯行時の渡辺容疑者は「精神的に不安定な様子」だったという。

確保された渡辺容疑者 ©文藝春秋

「立てこもっていた際には、説得を続ける埼玉県警の捜査員に『死にたい』と漏らすこともあったといいます。今では素直に取り調べに応じており、『母が死にこの先良いことがない』『自殺しようと思い、自分だけではなく鈴木先生やクリニックの人を殺そうと考えた』などと供述しており、事件の全容が少しずつ明らかになってきています」(同前)

 担当医を患者家族が殺害するという事件の悲惨さはもとより、今回の事件で世間を震撼させたのは、散弾銃が犯行に使用されたことだった。