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一夜にしてヒーローになった次男に伝えたこと

――孝太君はアスリートでもあるから、カズから自身の人生に照らし合わせてアドバイスできることも多いのでは。

カズ もちろん。たとえば、大晦日のRIZINで、孝太は1試合にして変わったわけです。たぶん、12月31日のあの試合前と試合あとでは、あいつが見る社会、社会が見るあいつは、全然違うんです。それは、俺が孝太と一緒に街を歩いていても、街の人があいつを見る目が全然違うのを感じるぐらいで、まあ、一夜にしてヒーローになったわけです。SNS上でもね。

 でも、一夜にしてヒーローになったということは、失敗すれば一夜にして犯罪者扱いもされる。試合に負けただけでそういう扱いも受けるし、誹謗中傷も増える。そういうことは常に言ってます。

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 ただ、外からの声を真に受けて、自分の精神を不安定にするのが一番よくない。そういう外からの言葉を気にしないでやるには、毎日コツコツとトレーニングを積んで、力をつけるしかない。もちろん、また勝つこともあるだろうし、負けることもある。そこに一喜一憂しないで、ちゃんと前に進んでいくことが大事。それには、毎日、本当に謙虚にトレーニングしていかなきゃいけない。そんなことは言いましたね。

「上げる人もいれば、落とす人もいる、そういう仕事だからね」

©関めぐみ

――そうした世間の風は、メンバー入りが叶わなかった1998年ワールドカップフランス大会の前後をはじめ、カズ自身がこの何十年間に味わってきたものでもありますよね。

カズ 上げる人もいれば、落とす人もいる、そういう仕事だからね。そうやって言われるのもスターだからこそ。「クリスティアーノ・ロナウドなんて30点入れても批判されるんだぜ、それに比べれば、俺らなんて、何も言われてないのと一緒だから」とも言いました。

 何か言われたとしても、それによってやることを変えたり、変わっちゃいけない。自分が強くなりたい、人間として成長したいとそういうものを持って、どんな状況になってもやっていかなきゃいけない。そんなことも伝えてます。