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 着物警察にも遭うが、着方を褒められるほうが多い

 着物を日常的に着はじめて約1年、着物警察に遭遇する一方で「うれしかったこともたくさんある」と、香山さん。

「その日は、タートルネックの上にデニムの着物を着て、袖からはレースを見せつつ、チャイナ風のカーディガンを羽織って免許の更新に行きました。写真を撮る前にお手洗いで着崩れを直していると、70歳前後の女性から『ねえ』と話しかけられたんです。一瞬、着物警察かも……と不安になったのですが『今は、いろんな組み合わせができてステキね』と、褒めてもらいました」

 着物を着ているときに話しかけられると「怒られるのか?」と身構えてしまうが、実際には、褒められた経験のほうが多いという。

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「最近は、着物警察の話題がネットで広く拡散されるので、着物に興味があっても“着るのが怖い”と、思っている人が多いと思います。でも、乱暴に着物を直してくる人は本当に稀で、やさしく声をかけて着崩れを直してくれる人のほうが多いですね。もしかしたら、丁寧でやさしい人も『着物警察』に括られてしまっているのかも。お互いに歩み寄れるといいですよね」

©iStock.com

着物警察に遭遇する怖さよりも、着る楽しさが勝っている

 香山さんは「たとえ絡まれても、もう一生会わない人だと思って切り替えている」と、前向きに話す。そして今後も、着物を着続けるつもりだという。

「今は、コロナ禍なのであまり外出できませんが、落ち着いたら着物でもっといろいろな場所に行きたいです。洋服だと派手に思える色も、着物なら自然に見えて、コーディネートをするのがとても楽しいんですよね。何より、着るのに手間がかかる分だけ、自分を大切にしているような感覚もあります。着付けているあいだも、自分にとってかけがえのない時間になっていますね」

 着物警察に遭遇する怖さよりも、着る楽しさが勝っている、と香山さんは笑顔で語る。これからも、ぜひ着物ライフを楽しんでもらいたい。