成人式や結婚式などといった場で、フォーマルな日本の伝統衣装「振り袖」を着る女性が多くいるが、こと普段着となると、着物で過ごす若者はあまり多くない。そのため、かねてから若者の着物離れが叫ばれているが、その原因のひとつといわれているのが“着物警察”の存在だ。

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着物に興味を持ったきっかけ

 着物警察は、街なかやSNS上で、着物を着ている人に対して「着付けが間違っている」と強めに注意をしてきたり、「生地が安っぽい」と嫌味を言ってきたりする人々を指す。この数年、ネットやSNS上で話題になり、昨年は「駅のトイレで着物警察に帯を解かれた」という、女子大生の投稿が大きな反響を呼んだ。

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 件の投稿ほどハードな例は少ないものの、とくに若い女性が着物を着ているときに、着物警察に絡まれやすい傾向があるという。そこで今回は、実際に着物警察の被害に遭った人に話を聞いた。

©iStock.com

 香山南さん(仮名・25歳)は、元々着物の着付け方は学んでいたものの、昨年から本格的に着るようになったという。着物に興味を持ったきっかけは、SNSの投稿だった。

「ある女性が、SNSに投稿していた着物を現代風にアレンジして着ていた写真がとてもステキだったんです。そこで『私も和洋折衷の着物コーデをしてみよう』と思ったのがはじまり。今は和洋MIXの着物コーディネートにハマっています。着物の下にレースのブラウスを着たり、リュックを背負ったりすることもありますね」

伝説の生き物に遭遇した気分だった

 着物に目覚めて以来、週に最低1度は、家の中や外出時に着物を着ているという香山さん。そんな彼女が着物警察に遭遇したのは、昨年の春先、都内の百貨店内をひとりで歩いていたときのこと。突然、着物の上からお尻を触られて、帯を引っ張られたという。

「驚いて振り返ると、60代くらいの女性が立っていて『帯がめくれ上がっていたわよ』と、冷たくぶっきらぼうに言い放って去って行ったんです。

 その日私は、名古屋帯を一重太鼓に結んでいました。帯の端が下に垂れているのが正しい結び方なのですが、いつの間にか帯の端がめくれ上がっていたようです。それにしても突然の出来事だったので、本当に混乱しました」

 香山さんは「これがウワサの着物警察か……!」と、身を以て感じたそう。伝説の生き物に遭遇した気分だった、と振り返る。