今年初頭より、北朝鮮は日本海に向けて頻繁にミサイルを発射し続けている。
発射されたものの中には、迎撃が極めて難しい「ロフテッド軌道」で発射されたミサイルや「極超音速ミサイル」、さらには発射前の探知が困難な固体燃料推進方式の短距離弾道ミサイルも含まれている。
こうした軍事的挑発に対し、日本の与党内では「敵基地攻撃能力」の保有を叫ぶ声が喧しいが、その議論を始める前に、まずは「敵基地」の現状を知ることが大切である。
国連安全保障理事会・北朝鮮制裁委員会専門家パネル元委員の古川勝久博士は「文藝春秋」に、北朝鮮の核・ミサイル基地の最新の衛星画像分析の結果を公表した。
それによると、世界中が新型コロナウイルスに気を取られていた間も、北朝鮮は着実に核兵器・ミサイル関連技術を進歩させてきたことがわかるのだ。
赤く染まった「核の心臓部」
現在、古川博士はオーストリアのシンクタンクでシニア・アナリストを務め、公開情報からのインテリジェンス(オシント)によって北朝鮮の軍事動向を分析するプログラムに従事している。
まずは、ミサイル発射の陰に隠れがちだが、より深刻な「核施設」の現状から見てみよう。