「自分が知っているだけでも、被害総額は3億円以上。相手は一般人だけではありません。ヤクザや東証1部上場企業の前会長までカモにしていました。中村容疑者が塀の向こうに行った後も『何とか取り返せないか』とみんな憤っています」
現在、全国の被害者らが息巻き、詐欺罪での立件に向けて動いているというその男。
昨年11月23日に妻の中村桂子さん(41)を窒息死させたとして、静岡県警に殺人容疑で逮捕された中村祐貴容疑者(44)だ。
建設会社の社長で、ランボルギーニなどの高級外車を乗り回し、高級マンションを持つ。政財界に幅広い人脈を持ち、人を騙しては派手な生活を送っていた男が、殺人事件を起こすまでの“転落人生”とは、どんなものだったのだろうか。
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無理心中を装うようなLINEのメッセージ
沼津漁港から少し離れた、場末のラブホテル街。
高速道路の出口に隣接し、通る車はトラックばかりだ。その一角にあるヤシの木が茂った南国リゾート風のホテルが、今回の殺害現場となった。
「2人で決めたとはいえ人殺しです。皆さん頑張って生きてください」
早朝6時半。目を覚ました中村容疑者の友人がLINEを見ると、そこには本人から、犯行を告げる1通のメッセージが届いていた。
「実は中村容疑者は犯行直後、別の知人らに『カッとなって絞め殺した』と電話をしています。被害者の死因は窒息死でしたが、混乱していたのでしょう。後になって『2人で決めた』とまるで無理心中を装うようなLINEを逮捕前に友人に送ったのは、『情状酌量を狙ったのではないか』と噂になっています」(中村容疑者の知人)