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本橋麻里「選手に『頑張れ』なんて言いません」 現役時代から引っかかっていた“違和感の正体”

ロコ・ソラーレ代表理事 本橋麻里インタビュー #3

2022/02/10
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現在、長男が6歳、次男が2歳に

――息子さん、おいくつになったんですっけ?

本橋 長男が6歳で次男が2歳になりました。

――鈴木夕湖選手が長男くんと全力で遊んでいる姿を何度か見かけたことがあります。

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本橋 いつも感謝しています。子どもと本気で遊べるというのも夕湖の才能ですよね。氷上やトレーニングではやることはやって、オフは10代のようにはしゃぐというか、彼女は永遠のピーターパンみたいな存在です。息子も夕湖が大好きで、しばらく会っていないので「ねえ、夕湖はいまどこにいるの?」と何度も聞かれます。

――オリンピックに出るということは、なんとなく理解しているんですか?

本橋 4年前、2歳の時に主人と平昌まで来てくれて、それを覚えているようなのでなんとなく大きな大会というのは分かっているんじゃないですかね。でも彼にとっては「ちな(吉田知那美)とソフトクリームデートする約束したのにまだ行けない。いつ行けるのか」のほうが大切みたいですね。生意気ですよね(笑)。

二人の息子の話をしながら思わず笑いが止まらなくなってしまう ©佐藤亘/文藝春秋

カーリングと共に歩む未来…まだまだ先は長い

――次男くんが生まれて、本橋さん自身に変化はありましたか?

本橋 大きくは変わってはいませんが、日曜を完全にオフにすることにしました。どんなに自分がやりたい仕事でも申し訳ありませんが、お断りさせてもらっています。

――それはどうしてでしょう。

本橋 主人と話したのですが、私たち夫婦は共通してそれぞれ18歳の時に家を出ているんです。「大変なこともあったけれど、あのタイミングで親元を離れたのは結果的にすごい自分にとってプラスになったよね」と意見が一致して。じゃあ、息子たちも18歳になったら家を出てもらおうという結論になりました。まだ長男が6歳なので、あと12年も先ではありますが、家族の時間をしっかり作ろうという意図です。

――賑やかで明るい家庭を築いて、結成したチームは12年で2度も五輪に出場。後進も育ってきた。次に求める成功を教えてください。

本橋 取材でも講演などでも「成功の秘訣は?」なんて聞かれますが、私はまだまだ成功なんてしていません。ロコ・ソラーレの結果が出たことは大きな一歩で前進ですが、まだまだ先は長いです。

 カーリングチームがJリーグのようにその地域の誇りになるといいと思っていますし、ライフタイムスポーツとして日本に定着させたいし、まだカーリングホールがないエリアにできると面白いなと考えています。私、みなさんが思っているより、もっともっと欲張りなんです。

「思いついたら、面白そうだなと感じたら動いてしまう性格」と自己分析 ©佐藤亘/文藝春秋

本橋麻里(もとはし・まり)

 

 1986年6月10日北海道北見市常呂町生まれ。12歳でカーリングをはじめ、19歳でチーム青森に加入。2006年トリノ五輪、2010年バンクーバー五輪に出場。2010年に「ロコ・ソラーレ」を結成し、結婚、出産を経て2018年に平昌五輪に出場し、日本カーリング史上初のメダルを獲得した。

 

 現在は2児の母でありながら一般社団法人ロコ・ソラーレの代表理事を務め、セカンドチーム「ロコ・ステラ」の選手としても活動している。著書に『0から1をつくる 地元で見つけた、世界での勝ち方』(講談社現代新書)がある。

 

ロコ・ソラーレHP:https://locosolare.jp/

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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