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2025年大阪万博の影響は?

 最近では、隣県のかんなみ新地が摘発されるなど、色街には厳しい状況が続いている。その点についてはどう思っているのだろうか。

「尼崎のかんなみ新地は戦後の青線からはじまって、風営法の許可を取っていなくて、言ってみれば闇でやってましたからね。もともとは労働者の街だった尼崎には必要な場所やったと思うんですが、どんどん街が変わっていって、新しい住民が増えたでしょう。女の人だと、この商売を毛嫌いする人もいてはるでしょう。そんな流れがあったんじゃないですかね」

 大阪では、2025年に万博が開催される。大阪万博に向けて、西成区において覚醒剤や大麻などを売る露店が積極的に摘発されている。そうした国際的なイベントが行われる際には、色街の摘発がつきものである。

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摘発されたかんなみ新地は閑散としていた  ©️八木澤高明

 1970年に行われた大阪万博の際には、ソープランドが営業を禁止され、現在まで存在しない。果たして新地にも何らかの影響はあるのだろうか。

「こればっかりは何とも言えませんね」

 その言葉に、問題なく万博を終えて欲しいという思いが込もっていた。

「ホテヘルより稼げる場所がある」と言われ今里へ

 新地で働いている女性にも話を聞いてみたいと思い、松山さんが経営する茶屋に上がった。

 布団の敷かれた部屋で十分ほど待っていると、「お待たせしました」と、黒髪でスレンダーな女性が入ってきた。

「レイと言います。よろしくお願いします」

 松山さんが言ったように、爽やかな雰囲気を漂わせた、若い女性だった。彼女はコロナが流行していた2020年の暮れから、今里で働きはじめたという。

「それまでは、大阪でホテヘルをやっていたんですけど、その時の同僚からもっと稼げる場所があると言われて、ここにきたんです」

 実際に働いてみて、どんな印象を抱いたのだろうか。

「お部屋でお客さんと2人きりになるのは、ホテヘルも一緒ですけど、馴染みのお茶屋さんで接客するので、守られているという安心感はありますね。それとホテヘルだと、ウェブで日記とかをアップしたりしないといけないんですけど、けっこう面倒くさかったんです。そういうことをしなくて済むのがいいですね」