10日、11日に行われた第71期ALSOK杯王将戦七番勝負第4局。1日目から終盤に突入する激戦となったが、藤井聡太竜王(19)が渡辺明王将(37)に勝利、史上4人目となる五冠を最年少で達成した。「週刊文春」では、“天才少年”の強さの秘密を報じてきた。当時の記事を再公開する。(初出:週刊文春  2020年9月3日号 年齢・肩書き等は公開時のまま) 

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「『藤井時代』がいよいよ始まるのかも知れません」

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 そう語るのは他でもない、藤井聡太二冠(18)の師匠、杉本昌隆八段(51)だ。

 7月に棋聖位を獲得し、史上最年少タイトルホルダーになった藤井だったが、8月20日、木村一基王位(47)に挑戦した七番勝負を4連勝で制し、瞬く間に“藤井二冠”になった。

二冠と同時に史上最年少八段昇段

「タイトルホルダーは五番か七番勝負で挑戦者を退ければ防衛できる。つまり3勝2敗、4勝3敗でよい。逆に挑戦者からすれば、通算勝率が8割を超える藤井に、番勝負で勝ち越すのは至難の業でしょう」(同前)

 一度タイトルを獲れば極めて失冠しにくいのが藤井。実際、2つのタイトル戦でも計7勝1敗と短期決戦での強さが際立った。

 藤井の強さを、タイトル二期獲得の広瀬章人八段(33)はこう表現する。

「藤井さんは一つの局面で、常に妥協なく最善の手を探します。そして、ソフトが最高の評価値を示す一手を見つけ出す能力が非常に高い。今後、5年くらいの間に八冠を全制覇したとしても、驚きはないです」

 

 飯島栄治七段(40)も率直に言う。

「すでに全盛期の北の湖やV9時代の巨人のように、“強すぎて憎まれる”存在になりつつあると言えます」