岸田首相はブレることに関して一貫してブレていない。

 最近では「佐渡金山」もそう。一転して世界文化遺産に推薦したが、各紙を読んでいて気になったのは「党内保守派の反発に配慮」とか「参院選対策」とか岸田首相の興味が党内ばかりなこと。

岸田文雄 ©文藝春秋

対韓国との「歴史戦」に息巻く人たち

 その一方で「韓国との『歴史戦』が始まった」と勇ましく結んでいた記事もあった(産経新聞1月29日)。こちらは対韓国に夢中に見え、あの、みんな本当に佐渡金山に興味あるの?

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 地元ではどう思われているのだろう。新潟日報の社説を調べたら『佐渡金山推薦 政府は登録に力を尽くせ』(1月29日)の中で、

《文化審議会がその価値を認めたのだから、推薦の決定は当然だ。気掛かりなのは政治問題化したことだ。手続きが円滑に進み、確実に世界遺産に登録されることを望む。》

《韓国が問題視するのは、佐渡金山は戦時中に朝鮮半島出身者が強制労働させられた被害の現場だったということだ。強制労働を巡る韓国側の心情は理解できるが、推薦された佐渡金山の対象時期は江戸時代までだ。当時は手作業で採取から精錬まで行われ、こうした遺跡が残っているのは世界的にも価値があるとされる。》

 やはり政治問題化を気にしていた。