2月1日、石原慎太郎氏が亡くなった。私は、新聞各紙が石原氏の死去をどのように報じるのかに注目した。石原氏は作家としての顔のほか、運輸相や東京都知事を歴任した政治家でもあり、戦後の日本社会に与えた影響がはかり知れないほど大きいからだ。2014年に政界を引退したが、それはいまもなお、である。

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 いまこそ政治家・石原慎太郎の「仕事」を丁寧にふりかえるべきタイミングではないだろうか。そして、それは新聞をはじめとするメディアの大切な役割だと思う。

新聞各紙はどう報じたか

 私はまず訃報当日の朝日新聞デジタルに驚いた。石原氏の過去の発言をまとめ、「石原節」と見出しに付けていた。

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『「外国人が凶悪な犯罪」「参拝して何が悪いの」数々の石原節』(2月1日)

 それらの中には、

「三国人、外国人が凶悪な犯罪を繰り返しており、大きな災害では騒擾(そうじょう)事件すら想定される。警察の力に限りがあるので、みなさんに出動していただき、治安の維持も大きな目的として遂行してほしい」(2000年4月、陸上自衛隊練馬駐屯地で開かれた「創隊記念式典」でのあいさつで)

 もあった。こういう確信的な問題発言も「石原節」としてしまっていいの? そのあと朝日は見出しを「石原節」から「石原慎太郎氏の主な発言」に変更したがとにかく驚いた。