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「問題先送り」の発想では解決しない

 国や自治体が真剣に考えるべきは、土地の在り方を従来の量的成長を前提としたモデルから、人口が縮小し、街をコンパクト化することを前提として、その中で農地としての環境を守る土地と、人々を集め街としての機能を充実させていく土地とを、今一度戦略的に線引きし直すことだ。

 そうした意味では、今回の制度改正、特定生産緑地制度創設の効果は極めて限定的なものとならざるを得ないだろう。日本的な「問題先送り」の発想でしか制度改正を考えていないからである。

 そして先送ったつもりの問題が相続の大量発生によって一気に現実問題と化し、行き場を失った農地が宅地並み課税を嫌って大量にマーケットに出回ることになって、郊外部の地価が思いもよらぬ下落に向かうことが予想される。

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 生産緑地所有者世帯の多くはこれからが相続本番である。大都市郊外地価の動向はいまだ視界不良なのである。