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「すべては高山次第だ」 8年目に突入の山口組分裂抗争 6代目 vs. 神戸の決着へキーマンの次の一手は…?

「すべては高山次第だ」 8年目に突入の山口組分裂抗争 6代目 vs. 神戸の決着へキーマンの次の一手は…?

2022/02/20

genre : ニュース, 社会

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 双方の間で事務所への拳銃の発砲、乱闘騒ぎなどが頻発してきたなかではあったが、積極的に凶悪事件を引き起こすなら神戸山口組側からとみられていた。しかし、その後の展開は警察庁幹部の予測通りにはならなかった。

 むしろ事件を起こしたのは6代目山口組側だったのだ。

組織の要である若頭が殺害された事件の影響

 分裂翌年の2016年5月。岡山市で神戸山口組池田組若頭の高木昇が、6代目山口組弘道会系組員によって射殺される事件が発生。「即座に神戸側からの報復があるはず」と警察当局に緊張感が高まった。

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 だが、池田組の報復はなかった。当時の事情を知る別の警察当局の幹部は、「(神戸山口組組長の)井上が返し(報復)を許さなかったようだ」と明かす。

 だが、組織の要である若頭が殺害された事件の影響は大きかった。

 池田組では若頭が再び銃撃される事件が2020年5月にも発生した。2016年5月に射殺された高木の法事の終了後、若頭の前谷祐一郎が6代目山口組大同会の幹部によって銃撃され重傷を負った。

6代目山口組の司忍組長 ©時事通信社

 前出の警察当局の幹部が振り返る。

「池田組は岡山県内を中心にさまざまな事業を展開していて、資金力が豊富だ。5代目山口組時代には、組長の池田孝志は最高幹部に名を連ねていた。その若頭が2代続けて銃撃されたとなれば、“返し”をしたいのは当然と言える。むしろ“返し”がなかったら、『メンツを重んじるヤクザとしてどうなのか』と業界内では疑問視されることになる」

山健組と池田組が神戸山口組を離脱するという事態に

 当時の状況を注視していた指定暴力団幹部も同様に指摘する。

「池田組はシノギ(資金獲得活動)については定評がある。だが、カシラが撃たれても“返し”が許されずに、カネだけ搾り取られ続けたのではないか」

 若頭襲撃は、神戸山口組の中核組織でも発生した。

 2019年4月には山健組若頭の与則和が神戸市内で6代目山口組弘道会系組員に刃物で襲われて重傷を負った。この事件では報復がなされ、同年8月に弘道会系組員が銃撃されて重傷を負っている。

 年末になると、5代目として山健組組長の座を井上から2018年5月に継承していた中田浩司が逮捕された。前出の警察当局の幹部は「“返し”を許されないなか、中田は立場上、やらざるを得なかったのだろう。ただ、井上に叱責されたようだ」と指摘する。