国内最大の暴力団・6代目山口組組長の司忍が、2022年1月に80歳の誕生日を迎えた。司も傘寿を迎え高齢ということもあり、SNSを中心に「司が引退するのでは」との“怪情報”が出回っていた。
実際には司が引退することはなく、6代目体制は継続。6代目山口組と、対立する神戸山口組の抗争状態は8年目に突入した。
怪情報そのものは「ガセだと判断」(警察幹部)となったが、警察当局が注目したのが文面に「高山7代目の発表」と記載されていたことだ。
国内最大の暴力組織のキーマン・高山清司若頭
高山とは6代目山口組ナンバー2・若頭の高山清司のこと。対立抗争の動向だけでなく、国内最大の暴力組織の行方を担うキーマンとして、暴力団業界だけでなく警察当局も注視し続ける存在である。
2021年末時点での構成員数は、減少を続けている神戸山口組が約500人。それに対して6代目山口組は約4000人と、圧倒的に優勢だ。現状について、警察当局の多くの幹部は「すべて高山次第だ」と指摘している。
神戸山口組は2015年8月に、6代目山口組を離脱した山健組や宅見組、池田組などを中核として13組織で結成された。
中心となる山健組は3代目山口組で若頭を務めた山本健一が結成した組織だ。離脱時の山健組組長は、4代目の井上邦雄だった。かつては、「山健組にあらずんば、山口組にあらず」とまで称される大団体だった。また、宅見組も5代目山口組の若頭だった宅見勝が結成。いずれも山口組の中でも“名門”とされた組織だっただけに、分裂当初は暴力団業界だけでなく、警察当局も耳を疑うほどだったという。
警察庁幹部の予測通りの展開にはならず
分裂当時、警察庁で組織犯罪対策を担っていた幹部は、こんな風に予想をしていた。
「組織を出て行った神戸山口組側から積極的に抗争事件を仕掛けるかもしれない。その場合、弘道会の中枢幹部を的にすることが考えられる。おそらくほかの傘下組織には手を出さないだろう。神戸山口組vs.弘道会という構図を描くことで、『6代目(山口組)の弘道会以外の組織はこの抗争とは無関係、手出しは無用』とのメッセージを送るのではないか。もっと言えば山健組vs.弘道会という形を作りたいはずだ」