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藤澤五月から届いたビジネスメール

 コロナ禍での合宿先の食事は、ロコ・ソラーレにとって悩みの種のひとつだった。外食はどうしても感染のリスクがあり、自炊をすれば手間がかかる。特に稚内で行われた2021年2月の日本選手権と同9月の日本代表決定戦では、ストレスなく補給できる手段が必要だった。

 それを解決したのが、稚内市でゲストハウス「モシリパ」を経営する武重美亜(たけしげ・みあ)さんだ。都内の和食料理店や箱根の高級民泊などで調理経験を持つ武重さんは、チームのリクエスト「疲労を蓄積しないメニュー」に応じて、選手たちが「モシリパ」のダイニングで食事を摂る時間がない時にはデリバリーをしたりと、チームに尽くした。

2021年9月「モシリパ」前にて。3歳の娘ふみちゃんは「明るくかわいいお姉ちゃんたちが帰ってしまうところで涙をこらえていた」と武重さん(写真提供:「モリシパ」)

「美亜さんがいないと、最後に踏ん張れなかったかも。本当に美味しくて食事があんなに楽しみだった合宿は初めてだったかも」とは吉田知那美の感謝の言葉だ。

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 武重さんは振り返る。

「最初に『チームの食事を作って欲しい』というメールをくれたのは藤澤(五月)選手だったんです。文面がとてもしっかりしたビジネスメールに驚きました。食事の内容やデリバリーに変更がある時も、『容器代とかもかかってしまうので、それも請求してください』と細やかな気遣いをしてくださって恐縮でした。石崎(琴美)さんからいただいた『一緒に戦ってくれてありがとうございました』というメールも本当に嬉しかったです。みなさん、人間力が本当に高い方々でした」

地元・常呂町でチームの胃袋を支えるのは…

 9月以降は「邪魔しては悪いから」と個別の連絡は控えていたという武重さんだが、五輪出場を決めた時だけ、吉田夕梨花のインスタグラムに祝福の言葉を書き込むと、姉の吉田知那美から「長い長い戦闘期間を終えたら、本当にただただお客さんとしてリフレッシュ旅行でモシリパに伺わせてください」との返信があった。