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Xからの“仕事の詳細”「某飲料メーカー商品イメージガール」

 A子さんの元にDMが送られてきたのは12月14日。DMには冒頭のようなメッセージとともに、“仕事”の詳細も記されていた。

《タイトル 某飲料メーカー商品イメージガール

 資格 本年6月の時点で満20歳である事、過去に他メーカーにて単体媒体地上波映像媒体に起用されていないこと

 契約 本年6月より2年間》

「資格や契約期間がもっともらしくて、『本物だ』と信じ込んでしまったんです。しかし事務所に所属しているので、仕事を受けることはできません。断りの返信をしました。すると《もし年明けの今回の行政枠のホリプロに移籍してこの仕事をやる気になりましたらご連絡ください》と再度メッセージがあったんです。まずは話だけ聞いてみようかと連絡先を教えてもらうことにしました」

“1億円えっち男”Xとのやりとり(A子さん提供)
“1億円えっち男”Xとのやりとり(A子さん提供)

《行政枠》とは、ドラマやCMなどのキャスティングをする際にタレントありきではなく、特定の事務所に所属しているタレントに用意されたポジションのことだ。ホリプロなど、影響力の大きな事務所には行政枠が用意されていることが多いと言われている。

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 こうした業界用語を操る《小笠原》に、A子さんはすっかり騙されてしまったようだ。DMへ送られてきた電話番号にSMSを送ると、《小笠原》から電話が入った。

“1億円えっち男”Xとのやりとり(A子さん提供)

「電話の内容はDMと同じ様な内容でした。私からも詳細を聞きたい旨を伝えると、まずは会って話しましょうということに。向こうから指定されたのは、田端駅の近くのカフェでした」

「大きな仕事に高揚してしまいました」

 2021年12月17日、指定されたカフェの前に着いたA子さんは《小笠原》に電話をかけた。すると「《大川》というものがあなたを待っています。グレーのニットを着て奥に座っています」と伝えられたという。

「席に着くと《大川》は『博報堂からホリプロに出向している』などと言って、『常務執行役員 大川博隆(仮名)』と書いてあるホリプロの社名が印字された名刺を見せてきました。また電通の《小笠原》は大学の後輩で、仕事を振り合っているとのことでした。そしてDMで送られてきた件は、サントリーのビールのイメージガールだと告げられたんです。思ってもみない程大きな仕事に高揚してしまいました」