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「漢字のテストは50点、忘れ物ばかりする子どもでした」大食い女王の魔女菅原(58)が語る、発達障害の“生きづらさ”といまも抱える“劣等感”

菅原初代さんインタビュー #2

2022/02/26
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 大食い競技番組「元祖!大食い王決定戦」で3連覇を成し遂げ、殿堂入りを果たした“魔女菅原”こと菅原初代(58)。 

「水曜日のダウンタウン」などのバラエティなどで往時と変わらぬ食べっぷりを披露し、再び注目されるように。 

 そんな彼女に、「元祖!大食い王決定戦」参戦への経緯、劣等感を抱かせることになった発達障害などについて、自宅を改装して開いたパン店「カンパーニュ」にて話を聞いた。 (全3回の2回目/1回目を読む)

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菅原初代さん

◆ ◆ ◆

「強そうな女の人、見つけた」とスカウトされた

ーー2006年に地元の盛岡で開催された『第21回 全日本わんこそば選手権』に出たことが、デビューとなった「元祖!大食い王決定戦~札幌・福岡・高松・名古屋編」(2007年1月6日放送)参戦へのきっかけになったそうですね。『全日本わんこそば選手権』では、15分で289杯を食して準優勝に輝いています。 

菅原初代(以下、菅原) その時に優勝した泉拓人(※1)さんが、「大食い王決定戦」の常連だったんです。当時はギャル曽根さんが売れ出した頃で、番組側がライバル的な女の人が欲しかったらしいんですよ。 

 で、泉さんが「強そうな女の人、見つけた」と番組に教えて、番組から人材リサーチ会社に下りてって、そこから私に電話がきたんです。

(※1)泉拓人。「元祖!大食い王決定戦~信州・上越編」(2005年11月6日放送)で4位、「元祖!大食い王決定戦 爆食頂上決戦~バリ島編」(2007年9月30日放送)で3位。 

ーーすぐさま「出ます」と即答された? 

菅原 いやいや、信じるわけないじゃないですか。こっちは、普通の生活している人ですよ。もう、最初から嘘だと思ってたんだけど、友達に話したら「いや、絶対にそれほんとだと思うよ」って。 

「でも、北海道まで来いっていうんだよ」と答えたら、「北海道までいくらかかると思ってるのよ。たぶん、交通費と宿泊費を出してって言えば通るよ」って言われて。「ほんとかよ?」と思って聞いてみたら、「宿泊費も交通費も出します」と。 

 ブロック予選でも優勝したら、賞金が3万だか5万だか出ることにはなってたんですよ。でも、そんな額じゃ自腹で北海道を往復しても足りないので心配してたんですけど。だけど、交通費と宿泊費は出すというので、初めて自分で飛行機を取って、行って、食べて、優勝しました。よかった、よかった。 

 

ーー番組のことは知らなかったのですか。 

菅原 見たことも、聞いたこともないっていう。アイドルとかが「知らない間に、お姉さんがオーディションに応募して」とか、よくあるじゃないですか。そういうのを「自分で出したんでしょ。そんなうまい話あるわけないじゃん」って思って聞いてたから、自分の時になって「まさか」って。たぶん、私ぐらいだと思います。番組を知らなかったのは。 

ーー実際、相当に楽しまれたのではないかと。究極の“顎・足・枕付き”といいますか。しかも、優勝もされましたし。 

菅原 北海道に行けたし、はじめて飛行機に乗ったし、それで勝ったから楽しいというのはありましたね。けど、行った初日はすごく不安で、負けたら「お金を返してください!」って怒られるのかもしれないとか(笑)。 

 ホテルに着いたら、食事代として5000円をもらって「わぁ、すげー。なに食べよう」って。北海道だからお寿司を食べて「なんていい待遇なんだ」と思って夜になったら、ホテルの部屋にプロデューサーと制作会社のボスが「よろしくお願いします」って挨拶に来たんですよ。挨拶されるなんて、後にも先にもそれだけでしたね。当時は、期待の新人だったから(笑)。 

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