カーリングの決勝は手堅く、保守的なゲームになりがちだ。

 カーリングでは最後の点差は関係ない。1点勝っていれば、それでいいからだ。

 極端な話、第9エンドまでヒット合戦に持ち込んで0対0で進行させ、第10エンドのラストロックでドローの1点を決めれば勝ちなのだ(そうしたつまらない試合をなくすため、5投目まではハウス外の石を打ち出せない「フリーガードゾーン・ルール」が定められている)。

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2月20日、銀メダルをとったカーリング日本女子代表 ©JMPA

紳士同士の戦いのようだった男子決勝。一方の女子は?

 男子の決勝、スウェーデンとイギリスの試合は、ひとつのミスも許されないロースコアのゲームとなり、2点が入ったのは第2エンドのスウェーデンの一度きり。ため息さえ憚られるような張り詰めた試合は、結果的にエクストラエンドにもつれ込み、スウェーデンが5対4で数センチ単位の誤差を咎め合う“神経戦”を制した。

 この試合は、まるで寸分の隙もなくタキシードを着こんだ紳士同士の戦いのようだった。完璧なマナー、完璧な段取り。相手に少しの乱れがあれば、「それでは失礼いたします」と挨拶したうえで、相手に打撃を与えるような展開だった。

 しかし、両軍に乱れはほとんど生まれなかった。それほどまでに、ハイレベルな試合だった(ただし、面白いかといわれれば、そうとは言えない。派手ではなく、地味な感じは否めないからだ。得てして、「ガチ」の勝負はこうなる)。

 男子の試合を見て、思った。

 女子の決勝戦、日本対イギリスも同じような展開になるのではないか?

2月20日、銀メダルをとったカーリング日本女子代表 ©JMPA

 準決勝では、保守的で上品なワルツを得意とするスイスに対し、第5エンドで急にタンゴを要求した日本は、相手を揺さぶって4点というビッグエンドを作った。

 ところが、決勝という独特の雰囲気を持つ舞台では、神経戦となりがちで、日本としては「よそ行き」の展開が強いられるかもしれない。笑顔、トーク力が強みの日本としては、求められるキャラが変わってくる心配があった。

 そして事実、日本は夜会服を着た戦いに持ち込まれた。