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《政治と一線を画すのが五輪精神だが、ノーベル平和賞への意欲を持つとされるバッハ氏はむしろ政治との距離を縮めてきた。5月の聖火リレーに合わせ被爆地広島を訪問する意向も同賞への意欲が見え隠れする。》(日刊スポーツ2021年2月7日)

 ノーベル平和賞への意欲か。アスリートを優先した発言が当時から聞こえてこない理由も納得です。そんなバッハが興行を成功させるために忖度する中国やロシア。ロシアの問題点は日経のこちらの記事がわかりやすかった。

『コーチの育成法に批判』(2月15日)

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 海外メディアは、15歳のワリエワに対しておおむね同情的であり、批判の矛先の多くはロシアのスポーツ界の体質や、ワリエワが師事するエテリ・トゥトベリゼ・コーチらが指導するチームの育成システムに向けられているという。

 その理由の一つが「選手のキャリアが非常に短い」こと。

©JMPA

「旬」だけを利用されるロシアの選手たち

《女子選手の旬は短いから、集中して結果を出すべきだ――。トゥトベリゼ氏の持論のようで、旬を過ぎたと思われた選手には手厳しい。》

「旬」だと思ったら大人や国家が徹底して力を注ぎこむ。まるでモノ扱い。15歳のドーピングの背景が見えてくる。

 そしていざ大問題になったら15歳の少女に好奇の目が集中する。騒動の中でワリエワがリンクに立ったあの時間はバッハの興行が見世物としてピークを迎えた瞬間だったとも言えないか。ワリエワはミス連続でSP首位から4位に沈んだ。

『失意のワリエワ、4年後はどこに 短いロシア勢の「旬」』(日経WEB2月18日)

 ロシア女子は2010年のバンクーバー大会以降、シングルで五輪に連続出場した選手はいない。「旬」だけを利用された結果のように見える。