逃げることは「ありえません」
2011年2月、土地の売却により所有権は新しい人に移された。
しかし、排水をする安全対策工事が完了しないまま月日が流れ、2021年7月「大規模な崩落」が発生した。
遺族や被災者は、土地の前の所有者と現在の所有者を業務上過失致死や殺人などの疑いで刑事告訴するとともに、民事裁判を起こし約52億円の損害賠償を求めている。
被害者の会・加藤弁護士:
遺族としては今回盛り土を行ってきた行為は、まさに大量殺人に匹敵する行為だった
雨宮帆風記者:
午後1時です。いま捜査員が起点の土地の前所有者の関連先に捜索に入りました
警察は家宅捜索で、前所有者の関係先から400点近くの資料を押収し、捜査を進めている。
また県や熱海市も専門家とデータの分析、発生原因の調査を続けている。
(Q.市議会、県、警察への対応は)
前土地所有者:
もちろん真摯に対応します。私の意見をしっかり伝えます
(Q.逃げることは)
ありえません。私は事実をしっかり伝えます。私がいま思っている事は、いろいろな形の中で中傷論が出ていますが、時の事実は変えられないということです
(Q.時の事実は変えられないとはどういうことか)
実行行為、やってきたこと、これは変えられません。これだけです。少なくとも私が持っていた時、それから10年は崩れていないということです
独自の調査結果を発信すると言う前土地所有者
伊豆山で行われた盛り土の造成と周辺の開発。それに対して県や熱海市がどう対応してきたのか、前の土地所有者は独自の調査で確かめた結果を映像や論文で明らかにしたいとしている。
前の土地所有者:
もうすぐです、すぐできます。とりあえず仮発信、それから本発信という形になると思います
遺族は前土地所有者に強い憤り
母親を亡くし、被害者の会の会長をつとめる瀬下雄史さんは、前土地所有者の主張・姿勢に強い憤りを感じている。
瀬下雄史さん:
いまさら自分は善意の第三者です、私は悪くないと言った所で通用しない。到底受け入れられる、納得できる内容じゃない。とくに被害者にとって腹立たしい以外のなにものでもない。怒りを裁判にぶつけるだけです
多くの犠牲者を生み、住民の生活を一変させた土石流災害はなぜ起きたのか。どうして事前に防げなかったのか。県や市など、さまざまな形で進められる検証作業は、一刻も早い究明が望まれる。
【動画】前土地所有者へのインタビューを肉声で