静岡・熱海市で起きた土石流災害をめぐり、土地の前所有者が自身の考えを語った。
被害を拡大させたとされる盛り土は、どのように造成され、なぜ崩壊したのか。
被災者や行政、警察との向き合い方を聞いた。

前所有者は名前や会社名を伏せることを条件に取材に応じた。記事内では個別の会社名や個人名は【】で表記し実名は伏せている。

独自調査をしている前所有者

神奈川・小田原市。

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スマートフォンで撮影する前土地所有者:
おはようございます。私は熱海崩落事故の前所有者の【会社名】代表の【名前】でございます

前所有者は自らの考えを伝える動画を撮影している

スマートフォンを使って行われた撮影会。画面に向かい話し始めたのは、崩落した盛り土の前の土地所有者だ。

熱海でどんな開発を行い、盛り土にどう関わったのか説明していく。
いま専門家とともに、独自で原因究明を続けていると言う。

前土地所有者:
疑われているからこそ、真実を明かさなければなりませんね。土木工学の専門、地質学の専門、あらゆる分野にお願いしている

 

「被災者の冥福を祈りたい」が…

町を見渡す場所に設置された慰霊碑。1月末に完成した。あの日から間もなく8カ月になろうとしている。

静岡県熱海市 土石流被災地に立つ慰霊碑

2021年7月3日、熱海市伊豆山の町を襲った土石流。災害関連死を含め27人が犠牲となり、いまだ1人が行方不明だ。
130を超える建物が被害を受け、当たり前だった日常を奪われた。

2021年7月3日 押し寄せる土石流

前土地所有者:
もちろん被災された方にはご冥福をお祈りしたい。親族の心中はお察し申し上げる。だけど私自身としては大変複雑な思い
(Q.複雑とは)
言葉が見当たらない。それまでしか言えない。それが私の思いです

富裕層向けリゾート計画 語った「ロマン」とは

前土地所有者の男性は71歳。神奈川県内を中心に、測量や不動産業に携わってきた。

熱海での事業は、住宅地の造成からだった。
2006年、崩落した谷を含む35万坪の土地を購入する。
考えたのは富裕層向けのリゾート施設の建設だった。