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「中大野球部にとっては生活の一部」とまで言われる“にんにくや”のラーメン。澤村拓一、牧秀悟ら選手と店主の幸せな関係

文春野球コラム ウィンターリーグ2022

2022/02/28
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大学生にとってのオアシス的存在

 そして笑顔。大学生ともなれば、競技に楽しく打ち込める時ばかりではないだろう。故郷のスターも大学入学とともに上京すれば、自分以上の逸材たちに埋もれ「その他大勢」になってしまうこともある。

 それでも関さんは一人ひとりを見ている。嬉しい結果報告を受ける時もあれば、苦しい胸の内を聞くこともあるが、すべてを受け止める存在だ。

 寮生活は恵まれている一方で自由が利かない面があるからこそ、にんにくやは彼らのオアシスになっている。関さんは「冬場に1時間以上、外で待たせてしまっても、みんな笑顔で入って来てくれるのが本当にありがたいんです」と感謝するが、美味しいラーメンと心地よい空間がそこに待っているからこそ表情は緩むのだろう。関さんもまた「こっちも楽しいから、それが伝わるのかな」と話す。

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 これからの夢について尋ねると「今が充実しているから」と、特には無いという。そのかわり、客と店主以上の関係性となった若者たちの夢を「ともに追いかけているチームの一員のような気持ち」と話す。

 店を継いだ際にはルールすら知らなかったラグビーは大好きになり、巨人ファンだったプロ野球との向き合い方は「いろんな球団にみんなが行くから、どこファンとかはなくなりました」と、一人ひとりの活躍を願うようになった。

五十幡亮汰と牧秀悟と店主の関大輔さん(にんにくや関さん提供)

 今は胸の詰まる卒業シーズンだが、桜満開の季節になれば常連たちが新入生たちを連れてやって来る。こうして常連はどんどんと増えていき、関さんの楽しみも同時に増えていく。

 そんな幸せに満ちた関係性が、飽きのこないラーメンとともに育まれている。

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