仲が良かった友達から、「キモイ」と言われて無視される。スカートめくりをされた画像をシェアされる…。そんな高校時代のつらいいじめの記憶を持つ主人公・ユイの成長を、優しいタッチで描いた漫画『あの頃世界のすべてだった学校と自分への呪いにさよならするまで』(KADOKAWA)。作者のもつおさんに、自身のいじめ体験について聞いた。(全2回の1回目。後編を読む)

「あいつと喋ったら、お前らも同じ目に遭わせるからな」

――この作品では高校生のいじめだけでなく、社会人になった主人公の姿も描かれています。どういう狙いがあるんですか?

もつお 学生の頃のつらい体験は、長い人生のほんの一瞬です。それでも、苦しい思いを引きずって生きている人がいる。そのことを伝えたかったんです。だから、会社で働く主人公が過去を思い出すシーンは最初から必要でした。

 私自身、中学・高校時代にグループからいじめを受けていました。それはずっと心の中にしこりとなって残っています。当時のいじめや人間関係、学業の悩みなどがきっかけで、高校生の頃には、高校生の頃には強迫性障害や摂食障害を引き起こし、精神科へ強制入院という結末にも至りました(前作『高校生のわたしが精神科病院に入り自分のなかの神様とさよならするまで参照)。

ADVERTISEMENT

写真はイメージです ©iStock.com

 大学入学後は環境が変わり楽しく過ごせたものの、社会人になってからは逆戻り。女性が陰口をたたく環境だったので、「人にどう見られているか」を気にするようになりました。

「死ね」と書かれた手紙が授業中に投げつけられた

――もつおさん自身のいじめ体験は、どんなものだったんですか?

もつお 当時私は中学1年生で、エスカレーター式の女子校に小学校から通っていました。7~8人くらいの女子グループで遊んでいたのですが、ある日突然無視されるようになったんです。

 リーダー格の子は中学から入学してきて、スクールカーストの上位に君臨する子。その子から無視されると、クラスメートの全員から話しかけてもらえなくなりました。他のグループに身を寄せようとしても、「あいつと喋ったら、お前らも同じ目に遭わせるからな」と圧があって……。

 私以外にも無視される子はいて、その期間は長くて2カ月ほどです。その間は「死ね」と書かれた手紙が授業中に投げつけられたり、当時流行っていたブログに悪口を書かれたりしました。