仲が良かった友達から、「キモイ」と言われて無視される。スカートめくりをされた画像をシェアされる…。そんな高校時代のつらいいじめの記憶を持つ主人公・ユイの成長を、優しいタッチで描いた漫画『あの頃世界のすべてだった学校と自分への呪いにさよならするまで』(KADOKAWA)。作者のもつおさんに、SNSのいじめや漫画に込めた思いを聞いた。(全2回の2回目/前編を読む)
「また無視されるかも」という不安から「やめて」と言えなかった
――今作ではSNSに書かれた悪口も印象的です。
もつお 現在はSNSのいじめが多くなっているようですね。中高生にとってのSNSは、生活の一部。私は中学3年生の時にTwitterが、高校1年生の頃にLINEが始まりました。当時はガラケーを使っていたのでLINEに参加できず、取り残された焦りと疎外感を味わいましたね。
――漫画では、スカートの中を友達に撮影されてSNSを使ってシェアされるエピソードがありました。
もつお あれは私が実際に体験したことなんです。当時はLINEがなかったので、スカートめくりされた写真を携帯ごとみんなに回されました。相手はその写真を自分の携帯の待ち受けに設定して、私に何度も見せてくるんです。それがとてもつらかった。本当はやめてほしかったけど、ちょうどグループ外しが終わった頃だったから、また無視されるのが怖くて、「やめて」の一言が言えませんでした。笑うことしかできなくて……。家に帰ってからは、ずっと泣いていましたね。
スクリーンショットでいじめの形跡を残す手段が今は知られていますけど、ショックの方が先立って、そこまで頭が回りませんでした。
怒ったり、抵抗したりしなかったから、余計に舐められたのかも
――そういう子は、やる相手を選んでいるんでしょうか。
もつお 無意識に選んでいるのかもしれませんね。リーダー格の子にはしていませんでしたから。
もともとの私は、嫌なことをズバズバ言うタイプの小学生だったんです。でも中学1年生で無視された経験から「何があっても嫌だって言わないキャラクターになろう」と決めていました。そうやって怒ったり、抵抗したりしなかったから、余計に舐められたのかもしれません。