フォースで結生の姉である上野美優は、「ハイレベルすぎた」という男子決勝のスウェーデン対イギリスに魅せられたと語る。
「4年に一度のオリンピック、それもファイナルという限られた人しか立てない舞台でみんながみんなショットを決めて。ロコ・ソラーレの藤澤(五月)さんもそうなんですけれど、石半個ズレただけでミスにつながるレベルで、プレッシャーを抱えながらも決め切るのが本当にすごい。まだまだ私に足りないなとも感じました。
世界選手権などでプレッシャーのかかるショットをいろいろ投げて、時には決まらないこともあると思うんですけれど、スキップやスイーパーに頼りながら経験して次に繋げていきたい」
軽井沢カーラーの大きなアドバンテージ
上野美優が語るように、世界での経験はこれから積んでいくが、一方で国内での対戦相手には事欠かない。
SC軽井沢クラブのホームリンクである軽井沢アイスパークは、日本オリンピック委員会の「ナショナルトレーニングセンター競技別強化拠点」に指定されているからだ。ロコ・ソラーレはもちろん、男女や世代を問わずトップチームが頻繁に合宿を行なっているため、そういう時は多チームと交友のある荻原が交渉し、練習試合をお願いするそうだ。これは軽井沢カーラーの大きなアドバンテージだ。
さらに上野結生が「アイスパークの周りに体育館やジムもあるので、氷上練習だけではなく、充実したフィジカルトレーニングができる」ことが軽井沢の利点だと指摘すれば、姉の美優は「小学校からカーリング体験をしたり、軽井沢国際を授業で見学したりと、カーリングが身近にあるのもいいところ」と話す。
憧れではなくライバルとして
1998年の長野五輪でカーリング競技の開催地であった軽井沢には、本格的なプレー経験はなくとも、カーリングを知識として知っている町民も多い。カーリングを応援する下地や文化のようなものが根付いている、国内屈指のカーリングタウンだ。
豊富な練習相手、大きなトレーニング施設、カーリング文化などなど、軽井沢の良さを享受した若いチームに必要なのは世界での経験だけだ。早ければ来季にはロコ ・ソラーレと公式戦でも対戦が実現する。できればジュニア世界王者の肩書をひっさげて、憧れではなくライバルとして挑む好ゲームを実現してほしい。