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 耳を塞ぎたくなるような残虐行為を隠し、情報戦に長けた“皇帝プーチン”。対するウクライナのゼレンスキー大統領は、国民の心を掴むことができているのだろうか。

「今、ゼレンスキーの支持率は9割以上。演説もスピーチライターが書いているとはいえ、言葉の1つ1つに心がこもっている気がします。また、これまで彼を批判してきた人たちも、応援に回っているのが大きいでしょう」

ヒトラーのような髪型と髭をコラージュしたプーチン大統領の写真 ©getty

 ゼレンスキー大統領は元々コメディアンだった。

ロシアに徹底抗戦 ゼレンスキー大統領がノーネクタイなワケ

「ロシア側は彼の経歴を『政治にふさわしくない』という文脈でプロパガンダし、国内メディアからも2019年の大統領選で『あんなコメディアンが大統領になっていいのか』と批判の声がありました。ただ今は有事ですし、キエフに残って殺されるかもしれない状況で戦い続ける姿勢が、支持を集めているのだと思います」(同前)

 ゼレンスキー大統領も、情報戦に長けた政治家のようだ。彼が政界に進出したのは、テレビドラマに出演したことがきっかけだった。国民の民意をくみ取り、出馬のタイミングを見極める力を持っていた。

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「ゼレンスキーが出演したドラマは、“政治エリート”に失望した多くの国民を惹きつける内容でした。その中で彼は、政治の素人だった元歴史教師が汚職政治を刷新するという理想的な大統領を演じていました。『あんな人が大統領になったらいいな』という国民の印象が抜けきらないうちに、その後、選挙まであと3カ月というところで急遽、立候補したのです。今でもニュース映像では、ノーネクタイ姿ですが、これは『できるだけ国民と同じ目線でいよう』という彼なりのこだわりを示しているのでしょう」(同前)

 しかし、政治家としての手腕や評判は、これまでプーチン大統領の足元にも及ばなかった。