ロシア軍がウクライナへの全面侵攻を開始してから1週間が経った。連日、日本各地でも戦争に反対するデモがおこなわれている一方、ウクライナへの支援の輪が広がっている。2月25日、在日ウクライナ大使館が寄付の受け付けを開始したところ、3月1日までに6万人以上から20億円が集まったという。
また、「文春オンライン」ではこれまで現地在留邦人や在日ウクライナ人の親族から話を聞き、日本がウクライナの難民受け入れに関して消極的であることを伝えてきた。この問題は3月1日の衆議院法務委員会の議題にあがり、翌日、岸田文雄首相は記者団に対して、「まずは親族や知人が日本にいる人たちを受け入れることを想定しているが、それにとどまらず人道的な観点から対応する」と発言、国内大手企業やNPO団体が避難民を受け入れると表明した。
「皆様の支援に本当に感謝しています。私は日本が大好きでこの国に住んでいます。私にとって日本は第2の故郷ですが、今故郷がとんでもないことになっている。一度何とかして祖国に帰り、何か手伝えることをするか、この国に留まりやれることを続けるか、本当に迷っています」
深々と頭を下げ、記者の取材に応じるのはウクライナの首都キエフ出身で2011年から日本に滞在するセーニャさん(32)。セーニャさんは“日本通のウクライナ人”としてテレビ番組にも出演したことがあり、過去には日本を訪れた外国人観光客を相手にツアーコンダクターの仕事をしていた時期もあったという。セーニャさんは祖国を想う、苦しい胸の内を語った。(全2回の2回目/はじめから読む)
9歳のころに「セーラームーン」にはまった
――日本を好きになったキッカケを教えてください。
「9歳の頃にウクライナでテレビ放映していたアニメ『セーラームーン』にハマったんです。(セーラー)ウラヌスが好きでした。でも当時、私が通った学校ではまだアニメ好きというとどこかバカにされるような風潮があって……。セーラームーンが好きと言ったのがキッカケでいじめられたんです。周りからは『何であなたは中国のアニメーションばっかり見てるの?』『早く大人になりなさい』なんて言われました。当時はネットが今ほど普及してなくて、日本のアニメに興味があっても、ビデオテープを買うしかなく、接する機会はすごく限られていました。