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ロシアのウクライナ侵攻が、日本にとって「他人事」ではない深刻な理由

2022/03/03

 プーチン大統領率いるロシアがウクライナに攻め込んだので、相場も乱高下しているだけでなく面倒ごとも多発しておるわけですよ。

 巷ではロシア通貨のルーブルが30%近く暴落して露国内で取り付け騒ぎになったと報じられたり、資源輸出国であるロシアからの品物が手に入らなくなるということで、資源相場が文字通り乱高下しております。大変なことです。

 私自身も以前ロシアとの取引はかなりありましたが、極東方面だけでしたので、ロシアの政治の中枢であるクレムリンや欧州との玄関口・ウクライナでの紛争については遠くから眺めているだけだったんですけれども、我が国も否応なく対応しなければならない状況になってしまったんですよ。SWIFTからのロシア排除と、ロシア発のディスインフォメーション(フェイクニュース)対策で。

欧米の経済制裁を受け、ロシアの通貨ルーブルは暴落した ©AFLO

SWIFT排除は非常に厳しい経済制裁だが...

 アメリカやフランスほか、各国の必死の戦争回避の動きにもかかわらず、ロシアがそのままウクライナに軍を進めてしまったので、国際的な制裁として浮上したのが、ロシアの金融機関に対するSWIFT停止であります。

 SWIFTは、世界のほぼすべての国や地域にある1万以上の金融機関同士を繋ぎ、取引をする際に資金取引などのメッセージを交換するサービスであって、ここからロシアが排除されてしまうとロシアは国際的な資金決済ができなくなるよということで、経済制裁という点では非常に厳しいものがあります。

 これ、「軍事作戦の抑止として経済制裁に効果はあるのか?」という議論は安全保障のコミュニティでもよく出るもので、実際に武器供与などに比べて実効性が劣るよということで「劣後的手段」と言われることもあるわけなんですが、他方でロシア経済は短期的に大変な問題を起こすことになり、国民生活に大きな打撃を与えることは間違いありません。場合によっては、軽挙妄動をしたプーチン大統領に対する国民からの大規模デモの誘発や、状況を悲観した政府・軍幹部などによるクーデターなどの展開が支援しやすくなるというメリットもあるわけです。

 ただ、過去にも同じく資源国であるイランが核開発疑惑などで2012年、そして一度解除された後2018年にもSWIFT排除をされた事例があります。もちろん輸出入が止まるなどして短期的にイラン経済が混乱して大きな停滞をしたのは間違いないものの、第三国を経由した三角貿易や中国などイランを支援する大国系資本による貿易保険を使って間接決済するなどして、どうにかなっちゃうわけですよ。