北海道のファンを増やすための「情報デザイン」とは?
――ブームを作ることもそうですが、先ほどおっしゃっていたように、情報発信のデザインの仕方はこれからますます重要ですよね。
伊藤 「どう伝えるか」は地方を盛り上げる上でも大切なポイントです。「Domingo」(http://domingo.ne.jp/)というアプリを作ったのも、そうした一環ですね。これは北海道のいろんな情報をお知らせするもので、まだベータ版の段階なんですが、目標は「道民倍増」。倍増といっても移住してもらおうということではなくて、北海道のことを気にする「バーチャル道民」を増やそうということなんです。今、北海道には530万人住んでいて、毎年の観光客は800万人。そのうち海外からの観光客は200万人なんですが、大抵の人はカニ食って、ジンギスカン食ってさよなら。そうした人たちに、北海道を離れた後も情報を得てもらってバーチャル道民として繋がっていてほしい。そんな人が500万人増えれば、道民倍増っていう計画なんです。
――いろんなクリエイターを巻き込んで、北海道のファンを増やそうとしているんですね。
伊藤 北海道・札幌の産官学を巻き込んで、今年1回目を開催した「No Maps」というイベントにも、当社で中心的に参画しています。アメリカのテキサス州で毎年行われている「サウス・バイ・サウスウエスト」、音楽フェスと映画祭とテクノロジー系のカンファレンスを合体させたようなイベントなんですが、これを札幌でやってみたいね、と始めたのが「No Maps」なんです。
――地方発のイベントにテクノロジー系のカンファレンスがあったりするのは珍しいんじゃないですか。
伊藤 かなり新しいことをやっている自信はありますよ(笑)。ピッチ(起業家によるプレゼン)のようなテック系のイベントの他にも、自動走行車を実際に市内で走らせる実証実験をNTTと組んでしてみたり、世界的なシェアリングサイクル企業である中国の「モバイク」に声をかけて、日本展開の第一号として札幌で試験的に展開してもらったり。北海道ならではの農業や漁業とAIを掛け合わせるディスカッションイベントなんかもしました。漁師さんが持っている水温等のデータと人工知能を組み合わせることで近未来型の水産業を探る「マリンIT」という分野があったりするそうです。はこだて未来大学の和田雅昭教授がその第一人者なんですが、いろんな面白い世界があるなあって、僕自身、勉強になりました。