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世界から共感される地方のあり方、見せ方はあるはず

――北海道のテクノロジー系企業といえば、堀江貴文さんが創業した液体燃料ロケット開発の「インターステラテクノロジズ」がありますね。

伊藤 北海道の経済界は今、人工衛星に力を入れつつありまして、その経済効果は北海道新幹線のそれより大きいそうです。ロケットの射場候補の十勝のあたりは人工衛星ビジネスの拠点に最適なんです。まさに、「新しい開拓地」として北海道に来る企業も増えていくんじゃないかなと感じています。

――どうして拠点を札幌に置いているのかという答えの一つが、今のお話にありそうですね。

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伊藤 はい、ここが可能性のある開拓地だからというのはありますね。僕のやっている仕事は、もともとコンピューターを使って作り出した「音」を、アメリカの雑誌に自力で広告を出して販売したことに始まっています。フロッピーに音源データを入れて、海外に小包を送ったの覚えてますよ、今でも(笑)。それはもう30年近く前の話なんですが、あの頃でさえ、北海道にいながらにして海外と仕事ができたわけです。ましてやこの時代、東京から遠く離れた北海道にいるからとか、地方に住んでいるからといって、あれはできない、これはできないと可能性を狭めて考えることはナンセンスだと思います。むしろ、地方には開拓できる可能性がまだまだ秘められているんです。初音ミクが世界に愛される存在になったように、世界から共感される地方のあり方、見せ方はあるはず。これからもクリエイターが創生する「地方の姿」を追求していきたいと思っています。

自分のデスクに向かう伊藤さん

写真=吉川麻子 

いとう・ひろゆき/クリプトン・フューチャー・メディア代表取締役。1965年、北海道標茶町生まれ。北海学園大学経済学部卒業後、北海道大学職員として勤務、95年にクリプトン・フューチャー・メディアを設立する。2007年に「初音ミク」を発売。日本文化を海外に発信している功績により13年に藍綬褒章を受章した。