天台宗は「然るべき対応をとるつもりです」
こうしたA氏の一連の不祥事について、天台宗務庁は次のようにコメントした。
「今回の件はまずもって、安楽寺、観音寺の檀信徒さんに申し訳なく思っています。
我々の最大の使命は、このふたつの寺を守り、存続させることにあります。現在も、(両寺が抱えた)負債の調査を継続していますが、財務状況は非常に厳しく、まずはこのふたつの寺の立て直しに全力を注ぎたいと考えています。
しかしながら、(不動産や仏像の処分の過程で)不法、違法行為が行われていたとすれば、宗教法人として社会的に許されることではなく、天台宗として然るべき対応をとるつもりです」(小林祖承・総務部長)
一方の大岡寺では……
一方、無償譲渡としながら、実際は仏像2体を有償で安楽寺に売却していた大岡寺でも、別の疑惑が浮上している。大岡寺関係者はこう語る。
「実は、この仏像の(大岡寺から安楽寺への有償)譲渡には、(指定暴力団)会津小鉄会の大幹部も絡んでいる。その大幹部とXは数十年来の付き合いで、Xは、その大幹部が『親』となった頼母子講にも入っている。
そして、安楽寺から大岡寺に『預かり保証金』名目で約8500万円が支払われた後、 Xから大幹部に約500万円が謝礼として流れたんだ」
つまりX氏は長年にわたる「暴力団密接交際者」だったわけだ。X氏は私の取材に対し、こう答えた。
「まったく知りませんね。そんな話、一切ありませんわ」
だが、X氏は、くだんの「会津小鉄会の大幹部」との面識と、その幹部が「親」となった頼母子講に、「子」として参加していることは認めた。
欲に塗れ、業深い数多の人間たちの手によって、俗世を彷徨い続けることを余儀なくされた千手観音立像と阿弥陀如来立像。この仏様たちが安住の地を得られる日は果たして、来るのだろうか。